缶詰を温めたい
キャンプをする人なら、誰しも原体験ってありますよね。覚えているかどうかは別にして。
高校の時に仲の良かった友人は、キャンプというかフラフラ出掛けちゃうタチの奴ばっかりだったので、3人で奈良寺院巡り野営の旅とか、4人で卒業旅行(?)に紀伊半島一周電車の旅とか、4人で年末年始の休みにドライブ&キャンプ&テント泊@恋路が浜とか、若さに任せた貧乏キャンプ旅行をしていました。
その中でいつも登場していたのが缶詰ホテイの焼鳥(ホテイフーズ)です。僕はいつも持って行くのを忘れてて、誰かしらが持ってきた焼鳥缶をガスストーブの上に乗っけて温めて、爪楊枝で一口、ご相伴にあずかるのが常でした。だって未成年にしちゃ随分渋い趣味でしょ?その頃の僕といったら、まだオヤツはチョコやポテチでしたよ(笑)。
焼鳥缶(ホテイフーズ)
そんなわけで、僕もEPIのガスカートリッジ型バーナーを買って以来、しばしばホテイの焼鳥缶を火にかけて温めて食べるのですが、カートリッジ型バーナーはソロキャンプ用の狭いテーブルの上に置くと場所を取ってしまうし、ちょっと背が高くて扱いにくいので、地面に置いて使ってます。
ちなみに、ネットで調べたところ缶詰の温め方で一番良いのは湯煎だそうです。それも沸騰したお湯に火を止めてから5分入れるという方法で、直火に掛けるのは推奨されていませんでした。
今後は湯煎に切り替えるにしても、手持ちのミニスキレット(アウトドア雑誌BE-PALの2018年8月号付録)を使って、缶詰の中身を少しずつ入れて酒のツマミを作るってのもアリじゃない?と思い付きました。このスキレットは小さ過ぎて五徳に乗らないため、これまで使い道を見出せずにいたのです。
CHUMSの焼き印は付くかな…?
缶詰やミニスキレットをテーブルの上でこじんまりと火にかけたい。チビチビ呑みながらのんびりチマチマつつきたいのです。いかにもオッサン好みの趣味(笑)ですね。
シュゴー!と盛大に燃焼音のするデカいカートリッジ型バーナーは嵩張る上に、味気も色気も無いので、無音で小さいアルコールストーブが欲しいなぁ…と思ったのです。
また、キッチンのガス台が3口になると、料理の段取りが飛躍的に向上する(但し上手な人に限る)ように、キャンプでも熱源がもう一個あると便利です。キャンプ料理の経験が少ない人に起きがちなのが、良いバーナーを買ったものの、結局、熱源が一個しか無いので2品目を作っているうちに料理が冷める悲劇です。こればかりはいくら段取り上手といえども克服は難しいです。
野外では熱さこそ最上のご馳走という場面が少なくありません。湯沸かしや保温程度の熱量で構わないので、もう一個熱源を調達するのが良策です。素早くセットできて、小さく、安価なものであれば良い。そんな用途としてアルコールストーブが役に立つはずです。
市販品を買うのが一番カタいのですが、これらは気化したアルコールがノズルから噴出して燃焼するタイプで、結構な火力があるようです。燃え上がる炎は見ていて楽しそうですが、前記の通り、強い火力は不要で、安価で手軽、小さくコンパクトなものが希望なので、ネットを流れてたくさんヒットした自作の記事を参考に調達します。
その中で、最も安価で簡単な自作方法を見つけました。それはハンドクリーム缶(ダイソー)にスチールウール(ダイソー)を詰めたもの。燃料用アルコールを注いで火を付けるだけというお手軽ストーブです。もちろん一個100円(税別)です。
ハンドクリーム缶にスチールウールを詰めるだけ
燃焼用アルコール(ケンエー)は500ml入りのボトルを近所のスギ薬局で買ってきました。350円でした。
このボトルから小さなクリームケースに直接注ぐと絶対にこぼしそうなので、コスメ用ピペット(注射器タイプ)をダイソーで買ってきました。
ピペット
これだけでは風に吹かれると火力が落ちるし、不安定で危なっかしいし、なにより缶詰やミニスキレットを乗せられません。そこでゴトク(五徳)として、ポケットストーブ(エスビット)のスタンダードサイズを調達しました。
好日山荘浦和パルコ店で1,700円でした。これはそもそも固形燃料用の折り畳み燃焼台なので、アルコールストーブが不首尾になっても、固形燃料で本来の目的を果たせるはず。
燃料用アルコールを注いで火を付け、ホテイの焼鳥缶を置いてみたところ、あっという間にグツグツ言い出しました。意外と火力があるんだなぁ。
ポケットストーブは蓋を斜めに傾けて固定できるため、2種類のサイズのゴトクになるのですが、皿や器の形、大きさによってはポケットストーブの上にうまく乗せられない場合があることが判明しました。
蓋を斜めにしないと乗りません
そこでcreemaで見つけたポケットストーブ用網ゴトクを購入しました。500円でした。製作者は僕と同じ市内に在住の方だとか。
ポケットストーブ用のゴトクです
意外に強かった火力ですが、暖房の効いた無風の家の中であることを割り引かねばなりません。野外で使うには絶対に風対策が必要なので、ガスカートリッジバーナー用の折り畳み風防ウインドシールド ロング(EPI)を使います。
折り畳み風防
この折り畳み風防が使えない鍋、地面の状況を考え、ポケットストーブに直接付ける小さい風防を調達します。ホームセンターで0.5mm厚のアルミ板を買ってきて、金切り鋏で切ってミニ風防を作りました。大きな風防があっても、アルコールストーブに近い位置に小さな風防があれば、輻射熱で火力の強化も期待できます。
燃料用アルコールを500mlのボトルで野外へ持ち出すのは、嵩張って現実的ではありません。ホームセンターで塗料用のポリプロピレン製広口ビンを買ってきました。100mlボトルは釣り竿のしごき塗りで使う、馴染みのあるサイズ。一個100円程度ですし、在庫はいくらあっても困りません(笑)。新たに買った50mlとの2種類を備えておけば、デイキャンプ、一泊キャンプのどちらでも対応できそうです。
広口ビン(PP製)50ml
1月19日(日)、小鮒釣りに出掛ける際にフィールドテストを行います。課したミッションはおでんを温めるです。パック入りおでんをコッフェルに入れ、食べ頃まで温まればオッケー。沸騰さえ要求しない緩いテストですので、これくらいはこなしてくれないと。
これらの道具はポーチに入れようかと思ったのですが、コッフェルの中とかピクニックバスケットの空いたスペースに押し込むくらいのサイズ感なので、無理にひとまとめにはしませんでした。
バスケットです
釣り場ではダイソーで買ったステンレスの皿を敷いて延焼予防とし、ミニトーチ(SOTO)を使って点火しました。便利グッズを使うと快適に作業できます。昼間の点火では炎が見えにくかったですが、おでんを温めたらフツフツと音がしていました。
コッフェルに蓋をして温まるのを待っていたら、いつの間にやら火が消えていました。慌てて食べてみたらちょっと熱めのちょうど良い温度だったので、目論見は大成功でした。
おでん
当初の目的であった缶詰についても、おでんに替えて、お湯に入れてやれば湯煎になります。簡単にちょっとした火元が取れるのであれこれ工夫ができそうです。
小さいスキレットの用途として、小さい目玉焼きを作ることを思い付きました。
マフィンサンド
マフィンからはみ出さない程度の小さい目玉焼きを作るのにピッタリでした。これなら別途、目玉焼き用の枠(リング)を買う必要もありません。
使っているうちに、意外と盛大に燃えて火勢が強いことに気付きました。このままでは夜にしんみりと火を付ける…という野望に相応しくありません。そこで火勢を押さえる方法として、穴の開いた蓋を被せることにしました。
まずはクリームケースにステンレスの目の細かい網を円形に切って入れます。蓋が無い状態でもスチールウールが飛び出さないようにする対策です。
飛び出し防止です
コーヒーのショートアルミ缶(ジョージアのエメラルドマウンテン)の径がクリームケースコンテナにピッタリ入るサイズだったので、缶の底を使って蓋を作成します。
缶の底から18mmの高さに線を引き、取っ手を残して切り離します。缶の底にサークルカッターで直径20mmの穴を空け、缶底の曲面をすりこぎで反対側に押し出しました。
穴を空けました
燃焼テストは0.5合(5勺)炊飯をしてみました。
エスビットにセットします
蓋のテスト(1min24sec)
Click to Play
Mac/SmartPhone : MP4(16MB)
Win : WMV(22MB)
蓋を乗せて弱火になるだけですが、これで夜にまったりツマミを作ることができるようになりました。
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