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折れた船竿を改造する

マゴチメバル竿の手元を修理して手バネ竿に

2017-04-19~

その1

発端と構想

 去る2013年、毎年恒例の半夜メバル釣りに出掛ける際に、これまで愛用していた竿、アルファタックルのMEDALIST旬マゴチメバル240(二本継)の手元を車のバックドアに挟んで折ってしまいました。以降、半夜メバル釣りでは船宿の貸竿を使いながら、2015年には新たにメバル竿を購入したため、無事だった穂先だけが残っていました。
 長らく放置していたのですが、2017年4月19日エノさんからマゴチの沖(餌)釣りに行かない?とお誘いがありました。結局、釣行は叶わなかったのですが、本来の用途であるマゴチのエサ釣り用の竿に仕立てることにしました。

 マゴチのエサ釣りといえば、サイマキ(小型のクルマエビ)やハゼを使った活エサですが、手バネ竿(リールを使わず、手で糸を手繰る竿)を使う伝統的な釣りが残っている釣りものでもあります。ハゼ釣りで中通しの手バネ竿を使っていますが、リールが無い分軽くて魚の感触が心地よい特徴を感じています。
 ここはぜひ手バネ竿で釣ってみたい。しかしレンタルも無く、買うと高価です。折れた竿の穂先でデッチあげられないかな?と閃いたのでした。

 またもや新しい釣りに入門するために竿を作ってしまう悪い癖が出てしまいました(笑)。うまくいかなければ船宿で販売している手バネ竿を購入すればいいんだし、いつまでも穂先の用途が決まらないままよりはマシである、と思えば、これも一興かと思います。

解体

 残った穂先の解体作業を行います。本当は解体せず手元だけを作成し、そのまま差し込みを合わせた手元を作れば良いのですが、穂先が銀色なのはどうにもいただけません。塗り直したいので塗料まで剥がします。

 ガイドを外します。ガイドを止める糸は、コーティングしてあるエポキシ塗料ごと、ガイドの足の部分をカッターで削って、糸を切って解いていきました。ガイドが外れたら、塗料剥離剤で残ったエポキシ塗料を溶かして取り除きます。
 トップガイドはお鍋で沸騰させたお湯の中に突っ込んで温めると、接着剤が緩くなりますから、ペンチで掴んで引っ張って抜きます。

 ガイドが外れたらブランク表面の銀色の塗装を剥がすのですが、ここでFishing Cafe 180°の店長に外注に出してしまいました(笑)。

綺麗になりました
塗装を剥がした後の穂先

 2017年5月8日に作業が完了して引き取りに行ってきました。お代は5,000円ほどだったような記憶があります。とても綺麗に剥がしてもらって、ここで始めてグラス穂先を繋いでいたことが分かりました。

材料調達

 折れた竿の穂先は塗装を落として綺麗になりました。問題はこれを継ぐ手元の部分です。ある時へら竿の竿掛けだったらちょうど良い手元になるんじゃないか?と閃いて、タックルベリー浦和美園店で手頃な中古品を発見しました。3,000円くらいじゃなかったかな?

お手頃価格だったので
竿掛けです

 長い本体が全長約120cm、追い継ぎが約50cmです。竿袋には魚心 十節 竿受 口巻と、竿掛け本体には魚心 こころと書いてあります。竿掛けは節の数が多い程珍重されるようですが、この竿掛けは本体が8節、追い継ぎを含めて10節です。
 ネットで調べてみるとなんとかヒットしました。籐巻きの間に茶色い粉を散らした砂子塗り?の細工を見ると、決して安物でもなさそうな気がするのですが、タックルベリーって中古の竹竿や竿掛けについては総じてお買い得です。

 この竿掛けを見ながら構想を練ります。
 竿掛けの玉口は穂先の込みより少し小さくて、そのままでは入りません。とはいえ竹の内部を削るのは難しいし、強度に不安があるので、穂先の元側の込みを削ることにします。カーボンだったら少々しくじってもどうにかなりそうだし、そもそも捨てる竿だし(費用を掛けてバラしたくせに、とか言わないように:笑)

 そうすると込みを10cm取ったとしても、竿掛けの長さ約120cm、穂先も120cmあるので全長約230cmになります。一般的なマゴチの手バネ竿って持ち重り防止や底の取り直しの使い勝手向上のため、もっと短くて1.5~1.8mくらいだそうです。う~ん。使って重かった時に考えるかな?

 竿が重いなら、竿尻は肘当てが理想でしょう。せっかくの長い竿なら竿尻を長くとって肘に当てて、楽に釣れるようにしたいところです。

込みの調整

 また悪い癖が出て、一年以上放置してしまいました。2019年の正月休みに作業を再開しました。
 穂先の後端の込み部分を調整します。紙やすりの120番で込み部分を掴み、竿をくるくる回して削っていきます。何度も何度も手元に挿しては削りを繰り返します。
 穂先が手元に結構入るようになった時、今度は竿を小さく上下に振るとカタカタと音がします。要は広い面で密着していない、ということですね。なかなか難しいなぁ…と、1月19日にアトリエでエノさんにお会いした時に、おずおずと助言を頂戴したいと見せました。

 すると師曰く、今日持ってきた竿掛け用の原竹にピッタリのものがあるから作ってあげるよと。どうやら竹の差し込み口の加工を工夫することで、容易に、かつしっかりと挿し込むことができるようになるらしいんですね。よく分からんけど。
 火入れと込みの調整までやってあげるから、後は自分で仕上げればいいと、穂先を持って帰られました。相談したら専門家の技を投入してくれるとは…。破格の好待遇でございます。
 結局僕が準備した竿掛けはそのままお持ち帰りで、出番が無くなっちゃいました。本来の用途である竿掛けとして使うかなぁ。

その2へ続く(予定)

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