浜名湖へ行ってきました
以前からやってみたい釣りの一つに、浜名湖でのクロダイのサイトフィッシングがあります。膝下くらいの広い浅場に立ち込んで待っていると、餌を食べるためにやってきたクロダイが見えるので、フライをキャストして釣る、という釣り方です。
この浅場(flat)での釣りは、クリスマス島でのボーンフィッシュなど、一部のフライフィッシャーにとても人気があります。とはいえ日本では浅場(flat)及び、そこにやってくる対象魚が少なくて、ごく一部でしか楽しむことができません。その中で最も自宅から近いと思われるのが、浜名湖でのクロダイ釣りなのです。
26日、仕事絡みでクロダイのサイトフィッシングは面白いですよという話を聞いた晩に、自宅に帰ってくると、ちょうど釣りビジョンでon the flat 2という番組のリピート放送をやっていました。出演はこの釣りの開拓者として有名な杉浦雄三氏。番組を見終わって、彼のガイドサービスtealのサイトのガイドスケジュールを見ると28日(金)に1人空きがあると出ているではありませんか。28日はちょうど夏休みをとって、遠出の釣りに出ようかと思っていたところです。
翌日27日に電話を掛けてみると空いてますよ~とのお返事を頂きました。こんなチャンスはもう無いだろうとガイドをお願いすることにしました。
28日の夜半過ぎに自宅を出発し、7時に浜名湖畔のフィッシング沖というレンタルボート店に集合しました。
ここで杉浦さんが登場し、今回乗り合わせとなるYさんとご挨拶します。この方が一人で予約を入れていなければ、僕もご相伴?に預かれることは無かったわけで。奇妙かつ有難いご縁です。
道具はよく分からないこともあってレンタルをお願いしました。自分が使ったことが無い竿をお借りできるかな?という目論見もあって(笑)。お借りした竿はトーマス&トーマスの9ft、8番でした。リールはラージアーバーのもの。ラインはソルト用8番フローティング。リーダーは多分フロロカーボンラインを使った3段落としのノッテッドリーダー約9ft、ティペットはフロロカーボンの-2Xを2ftくらい繋いでいました。フライは杉浦さんが研究を重ねているシュリクラです。
これまでにほぼやったことのない釣りだけに装備を考えました。帽子はFoxfireの後ろ日除けつき。偏光サングラスは必須です。シャツはミズノの吸湿速乾長袖Tシャツ。ゴルフ用のもので普段は鮎釣りで使用しているものです。とにかく歩く、もしくはじっと立ってる釣りになるはずだから…、とワコールのサポートタイツCW-Xを履きます。その上に海水パンツ。足元は鮎釣りで使っている速乾靴下にウェーディングシューズです。
船に小さなクーラーボックスを持ち込み、食料と飲料水はふんだんに準備しました。釣りの際には、軽量の防水ザックを背負い、その中に最低限の飲料水や道具などを入れて持ち歩きました。
装備として足りなかったのはクラベルガード。砂が靴の中に入ってくると不快ですので、足首回りに対策があった方が良いです。エイもいるそうなので、砂対策と併せてエイガードを使うのも手かも知れません。
あいにく小雨がパラついた後、少し日が差すという中途半端な天気でしたので、薄手のカッパを使いました。顔がパンダ焼けになる心配も無かったのですが、顔の日焼け対策もあると良いと思います。
準備を整えて、いざ出船です。スタートした途端、エンジントラブルで船を交換する事態が発生したものの、仕切り直して船は浜名湖へと滑り出します。
複雑な航路を縫って、到着したのは弁天島の正面にある大きな砂洲でした。
砂浜にアンカーで船を止めます
船から砂洲へ上陸して、波打ち際を歩いてクロダイを探します。次第に潮が下げてきて、姿が見え始めます。
最初は波打ち際だったのが、潮位が下がるとともに水の中へ入っていきます。杉浦さんに先導されて進むのですが、やはり注意点はストーキング。できるだけ音を立てないように歩きます。
やがて、立ち込んで待っていると、クロダイがアチコチでテイリングを始めます。水深は30cmも無いかも。クロダイが逆立ちして、底の貝やカニ、エビ類を漁っているから、水面から尻尾が見えるのです。お~!DVDで見た、あのシッポ!
ホントにアチコチでやらかすので、ここは一体ドコなんだろう、桃源郷に彷徨い込んだのかしら?というくらい、俄かには信じ難いほどの光景です。後から考えると、どうして写真を撮らなかったんだろう?と思い返すのですが、目の前でシッポをフリフリやられると、そりゃあ写真なんか後回しでフライを投げますよね(笑)。
ふらふらと夢遊病者のようにクロダイを追いかけてフライを投げるのですが、とにかくキャストが難しいです。杉浦さんのアドバイスではテイリングは難しいです。目の前の貝やカニなんかに夢中になっている魚の目の前に落として、割り込むわけですから。フライを魚にブツけるくらい近くに投げて下さいとのコトなんですが、そんなピンポイントのキャストはなかなかうまくいきません。ましてや大きいダンベルアイの付いた、ストーン!と沈むフライは重くてピンポイントキャストが難しいです。着水音も大きくなるし。
うまく目の前に落ちたとしても、フライを食ってくれるかは別問題。とにかく目の前に旨い本物があるわけですから、ニセモノを食わせるのが難しくなるのはマス類と同じです。気紛れでフライを追うようなクロダイのキャラクター?もあって、キャストが決まれば釣れる、というものではありません。この点、まだボーンフィッシュの方がアグレッシブにフライを追う、という意見も納得です。やったことないけど。
次こそ!次こそ!とクロダイを追っているうちに、やっぱり魚がどんどん離れてしまいます。海草が繁茂しているところでは、フライを見つけて貰えない、ストリップしても引っ掛かる、と、さらに難しくなってしまいます。杉浦さんに追い掛けるんじゃなくて、来るのを待ってください。海草のある場所で食わせるのは無理だと思って間違い無いですとアドバイスを頂きました。む~ヤツらのステージでは敵わないか。
潮が下げきって、水も干上がりそうになる頃、この場所はもう無理です。替わりましょうと移動です。船まで歩いて戻る最中に、先程までテイリングのあった辺りをみると…。
中央の穴はクロダイが口を突っ込んでホジった跡です
いっぱい見えるでしょ?狂乱の宴の跡です
周りの貝殻なんかから、どれだけ食べ物があるか容易に想像が付きます
潮が下げ切ってしまう前に、程よい水深の時にクロダイがやってきて、食べ物をホジホジするわけです。こりゃスゲー!
次に向かったのは、湖のド真ん中にある浅瀬でした。
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凄く浅いのに岸が遠い、不思議な風景です
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杉浦さんの足はくるぶしが浸かるくらい、とメッチャ浅い
ここではクロダイが食べ物を求めてクルージングしてくる魚を狙います。背中を出して泳いでくるなら見つけ易いのですが、水面がモヤッとするとかさざ波が違うといった変化(ナーバスウォーター)だけだと、なかなか見つけられません。隣で杉浦さんが何度も方向を指示してくれるのですが、半分以上はえ?どこだろう?という感じ。目を凝らしてようやく発見した頃には、結構すいすいと泳いでいたケースもしばしばでした。
ナーバスウォーターは食べ物を探している段階なので、テイリングよりも釣れる可能性が高い、とのことですが、こちらもクロダイの視界に入るように、あるいは見つけてくれる位置にフライをキャストするのは同じです。フライを見つけても食ってくれるのは半分以下との杉浦さんのアドバイスと、自分の実感から考えると、積極的に食ってくれるわけではないからこそ、キャストの精度をあげて、チャンスの母数を増やすことが肝要だと痛感しました。要はキャストは上手くいった。食う食わないは魚頼みというところまで技量を持っていかないと、テメェの下手さ加減にホトホト呆れ返って、父ちゃん、涙が出てくらぁと痛感するだけになっちゃいます。
その後、大きな砂洲の反対側に移動しました。ここは潮が下げていく最中にクロダイが回遊するルートで、その途中に馬の背があります。その馬の背を越えるときにナーバスウォーターを確認できる、という場所でした。さすがガイド、魚の行動と狙える地形をピンポイントで把握しています。
やはりキャストに問題を抱えたままではこのポイントでも釣れませんでしたが、同船のYさんは待望の初物を釣り上げておられました。おめでとうございます。
最後は沖のフラットへ移動しました。このポイントは後ろから流れる潮に乗って正面からやって来るクロダイを狙います。潮に乗せてフライを流し込むイメージの釣りでした。ここでもさすがガイド、色々手管を持ってるなぁ、と感心しきりです。
結局最後までクロダイが掛かることなく終了の時刻を迎えてしまいました。ボウズに終わったのは全て自分の技量の問題、ということが痛い程分かりましたので、残念というより清々しい感じすらあります。
これは(多分)釣った感の大きい釣りです。大きな達成感を得るためには相応の努力(キャスト練習)が必要、ということを理解しました。あ!釣れちゃった!が入り込む余地の無いストイックなゲームフィッシングですね。だからこそ燃える!という人はドップリ嵌まり込むでしょう。
僕の場合は…キャスト練習をサボって他の釣りに行ってしまうので、本当に楽しいところまで辿り着くのは一体いつのことやら?というところでしょうか。とにかくクイックシュート&アキュラシーを磨かねばならん、ということは分かりました。
帰りに東名道の上り線牧之原SAで仮眠と夕食をとりました。
夕食はスナックコーナーの鶏の盛りあげ丼を選びました。旨かったです。
食後にお土産コーナーをぶらぶら見ると、ココはワンダーランドでしたよ~。中でも出色はコレ。
なんと!オオグソクムシせんべい!
深海に棲むオオグソクムシを練り込んだせんべいです。これが発売された時は一部のマニアの中で相当話題になったと推察される検索結果でした。この手の生き物がお好きで無い方はむやみに突っ込まない方がいいかも?僕?もちろん華麗にスルーしましたよ(笑)。
やっぱり食後のデザートはコッチよね…と、買ったのは玉華堂の極ぷりんでした。
湖に出たら、自宅から一番近いフラットのパラダイスを体験できたのですが、帰り道では近いと言っても300kmくらいあるんだよなぁ…ということも実感できました。なんとか日帰り圏内ですが、体力的にも経済的にもそうそう行けません。でも、通わないと釣れないことも分かったし…、せめてキャスト練習くらいはしないと歯が立たない、面白難しい釣りでした。
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