ホーム整備日誌

カメラバッグを車載仕様に改造する

父の遺品を活用したい

発端

 2011年に他界した父親の生前の趣味は写真でした。カメラ関係の遺品がいくつかあったのですが、その中で僕が引き取ったものにカメラバッグがあります。billingham(ビリンガム)というイギリスのメーカーのバッグです。

ちょっと拝借
こんなカバンです

 改めて調べてみると、306 presstopというモデルのようです。サイズ(横×高さ×幅)は350×210×150㎜。容量としては約10リットルといったところでしょうか。
 最大の特徴はプレス・トップの名の通り、上部のファスナー両端が折り返しになっています。肩紐にスナップボタンが付いていて、この位置を変えることで上の開口部を伸ばして容量を増やすことができるんですね。こんな方法があるんだなぁ。感心。

分かるかな?
スナップボタンの位置が違います

 表面の素材はキャンバス地っぽい見た目ですが化学繊維です。若干の撥水効果があるんじゃないかな?イギリスっぽいクラシカルなデザインがお洒落で、フライフィッシングに似合うよねと思って引き取り、いざ使おうと思った際に、前面の取っ手は不要と、D環を通していた取っ手の縫い糸を切って取り外しました。

使わないので
こんな感じで取っ手が付いてました

 実際に使ってみると、やはり歩き回る釣りにはフライベストやウェストバッグが便利、肩掛けカバンは池タイプの管理釣り場や湖で歩き回らずポイントで粘る時などが良いのかなぁ?と感じました。こういう釣りの機会が少ないので、あまり出番が無いのが実態です。

数少ない写真
ちょっと見えにくいけど

 そんな中、釣りであまり出番が無いならバイクで使うのはどうだろう?サイドバッグのようにロードホッパーへ付けられないかな?と思い付きました。多分似合うと思うんですよねー。

構想と試行錯誤

 カバンをマジマジと見つめ直して加工が簡単、原理も単純、見た目もシンプルでカバンの雰囲気を損なわない方法を考えます。
 正面側の取っ手は糸を切って取り外したものの、背面側の取っ手は縫い付けられたままです。重いカメラを持ち運ぶだけに強度はありそうなので、背面側の取っ手を中央から切断してベルト状にして、これを荷台に繋ぐ、と考えました。

カッターナイフで
このベルトを切っちゃいました

 取っ手の中央をカッターナイフで切ったので、もう後戻りはできません(笑)。切ったベルトの端はライターで炙ってほつれ止めをしました。

 当初は、ベルトの付け根付近にD環を2個付けて、ベルトを荷台の縦棒に回してからD環2個で締める方法を考えました。ところがD環は余裕を持たせた輪で取り付けないとベルトを充分に締められない、荷台の縦棒からD環まで折り返して締めるにはベルトの長さが足りない、と分かって不採用としました。

 次に、スポーツスリムサイドバッグ.040(RSタイチ)で使っていたハーネス(接続用PPベルト)を使い、バックルからコキアジャスター(ダブルタイプ)に換える方法を考えました。これならバッグのベルトを通すだけで接続できます。

よく見るアレです
これがコキアジャスター(ダブルタイプ)

 幸いにして取っ手のベルトも、ハーネスのPPベルトも25mm幅だったので、手持ちのコキでピッタリです。ループを作った時と同じように、PEラインの5号(50lb)を使って、革細工用の針で縫い止めました。

こんな感じ
接続のイメージです

 2019年10月26日の接続テストで、カバンのベルトがコキに通しにくく外しにくいと感じました。もっと薄いPPベルトを想定して作られているのでしょう。このカバンは出先でヒョイと外して肩に掛けて歩きたいので、ワンタッチバックルとは言わないから、もう少し扱いやすいものがいいなぁ。

ちょいと面倒
接続テストの図(カバンは右側)

 そこで思い付いた第三の案は、コキをD環にしちゃえばいいんじゃない?と非常にシンプルなものでした。

あら、簡単。シンプル
こんな感じ(カバンは左側)

 接続ベルトは荷台の縦棒に輪を通して絞り固定するのは変わりません。コキの代わりにD環を2個通し、ベルトを折り返したらスライダーアジャスターを通して固定します。カバンのベルトはD環に通して締めるだけ。意外と簡単に緩むので、操作はとても容易になりました。バイクを降りてカバンを外して持ち運ぶのも気軽にやれるでしょう。

安全対策 肩掛けベルトの処理

 このカバンは肩掛けベルトを縫い付けてあるので取り外せません。走行中に肩掛けベルトがビラビラとたなびいたら危なっかしいので、100均で買ったマジックテープのベルトでまとめてカブセで覆います。

まとめます
肩掛けベルト収納時

安全対策 脱落防止

 素人の試行錯誤で積載する以上、ベルトが切れた(カバンから抜けた)際に道路にカバンを放り出さないようにする、いわゆる流れ止めを講じるべきで、後続車に迷惑を掛けないための配慮は絶対に必要です。カバンの背面上部にある輪にカラビナを付けて、荷台の縦棒に引っ掛けて、脱落防止とします。

 ある日、樹脂製のカラビナ、PSLプラカラビナ ルミロックL(パズデザイン)キャスティングキッカー日本橋店で見つけました。一個600円(税別)でした。
 樹脂素材の方が車体に傷を付けない、荷台に当たった際の音も煩くないうえ、不意に開かないようにストッパーが付いています。さらには夜行塗料が塗ってあり暗い所で脱着する際にとても役に立ちそう、これは良い!と即買いしました。

これ、いいですよ
今回の用途にピッタリ!
引張強度は20kgなので充分でしょう

こんな感じ
真ん中のヤツです

安全対策 巻き込みについて

 サドルバッグ(サイドバッグ)は後輪タイヤへの巻き込み対策を施すのが常です。このカバンは取っ手を持つと背面下方へ倒れ込むバランスでしたので、巻き込みの恐れを確認しておきます。

傾いてる
背面側に取っ手が付いてるから当たり前なんですけど

 通常のバイクではバッグサポートを付けることが多いのですが、ロードホッパーに付けたところ、リジッドフレームに当たって、巻き込みは心配なさそうでした。
 車体左側へ積載テストをした際に、フレームへカバンが当たってできる擦り傷防止のため養生テープを巻いたのですが…美しくないのです。積載時は良いのですが、カバンを下ろしたら養生テープが見えてしまいます。そこで黒のソックスベルトをフレームに巻き付けることにしました。

走行テスト

 2020年1月13日(月・祝)にページワン春日部へレッカーでバイクを持ち込み、バッテリーを充電して貰った帰りに、これらの安全対策を施して車体左側へ積載し、走行テストを行いました。荷物も軽く、30kmと短距離のテストでしたが、特に問題はありませんでした。

バッチリ!
車体左側へ装着しました

 車体左側のETCユニットとの干渉はありません。ピッタリサイズです。リアウィンカーには少し被さる感じです。ロードホッパーに似合っているのでは?と自画自賛しています。
 マルチレインザック(デグナー)のサドルバッグセッティングを使わない場合、例えば、荷物が少ない日帰りツーリングで、カバンを外して持ち歩いて観光したい、なんて場合に出番がありそうです。

 懸念事項は取っ手を縫い付けてある革の強度は足りるのか?です。ここからベルトがスポーンと抜けてしまってはどうにもなりません。ここは注意深く様子を見ながら使っていくしかありません。

注意

 これは、近所の革用品修理専門店に相談し、そこから革カバンの専門店にカバンを送って現物に触れた上で電話で相談しても、責任と自信を持って請け負えるアイディアが出なかった、成算が立たなかったため、自力での改造を試みたものです。
 本稿に記載された方法が、事故およびその他の不具合を起こさないことを保証するものではありません。
 影響を受けて何らかの行動を起こしても、全て自己責任で行って下さい。私は一切の義務、責任を負いません。

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