古風な竿かと思ってたら現代的な竿でした
エノさんから明日も鳥羽井沼にいるよ。来ない?とお誘いを受けまして、ホイホ~イと行ってきました。
今週は仕事が忙しくて寝不足なので開場の5時30分に合わせて起きるのはとても無理です、遅れて行きます、と前夜にあらかじめ伝えておいた通り、現地に到着したのは9時30分頃だったでしょうか。
事務所で料金を払って振り返ると、自販機前にエノさんが座って手を振っています。その右隣に入れて頂きました…って、お客さん少ない!見渡してみると10人居ませんでした。
今日のお題は本源師12尺で一枚釣って入魂の儀式を執り行うことです。先々週の神扇池釣行では、12尺チョウチンがピクリとも動かなかったので、様子をみるだけでしたから。
本来底釣りで使いたいなぁと思って購入した竿です。ここならちょっと沖打ちになりますが底に届くので、今日はこれ一本でイケるなぁ、とイソイソと繋ぎます。
道糸0.8号、ハリス0.4号30-37cm、ハリ上下とも改良ヤラズ4号、ウキはリコーサーバンスのさみだれハイテクトップ底釣り用15号です。底を取ると竿先から1mほど余るので、水深は約2mちょっと。若干風が吹いているので水深にしては大きめを選んでみました。
ところが板オモリをまいてえさ落ち目盛りの調節をしてみると、頼りないくらいに軽いのです。このウキ、各サイズを揃えているのですが、オモリを背負わないのです。底釣りのウキは浮力が小さいと聞いているのですが、風の日には扱いにくいと感じることが多いのです。
えさはダンゴの底釣り冬:真底:水を25cc:25cc:50ccで作ってみました。両ダンゴの底釣りです。釣りを始めたのは10時30分頃でしょう。
ちょうど釣りを始める頃にエノさんが休憩をとって撮影してくれました。桟橋ではすっかり慣れた様子でくつろぐネコにもご挨拶です。
エノさんが撮影をしている間には早々にアタリが出たのですがバラシてしまいました。そういや玉網を準備するのを忘れてました。
いつも底釣りのスタートは出遅れます。というのも振り込みの技術が未熟なため、えさ打ちの場所が一定しないのです。竿下ではなく沖打ちの底ならなおのことです。従ってトップのなじみ幅が一定せず、浅ナジミかと思えば次は沈没したり…と非常に釣り難いのです。やっぱり浮力のあるウキの方が楽かなぁ?
ウキ下を調節したり、ウキのなじみ幅であれこれ苦しんでいるうちに、ツン!と入ったアタリをあわせて待望の一枚めが釣れました。
この日は一つ一つ工夫をしていきました。右から吹く風の影響があるので、振り切りで打ち、ウキが立つまで竿を引いておきます。この日は握りを右耳の横にまで引きました。ウキが立ってから竿を前方に出し、常に同じ位置にウキが立つようにします。
さらに沖へ出て行く流れがあるようでウキが道糸に引かれます。少し引き誘いをしては竿を前に送ってウキに掛かる道糸の張りを緩めることで、トップの戻りを促進してやります。道糸を緩めてもえさ落ち目盛りが出なければ沖の深いところに流されて底を切っていると判断し、少しずつズラシていきます。
これでアタリが頻繁に出るようになったのですが、ことごとくカラツンになります。良いアタリが出たと思ったらスレ掛かり。ズラシ過ぎたか?とウキ下を浅くするとアタリが出ない…。う~ん、えさのタッチの問題かな?と思い切って柔らかく手直ししたら、ツン!とウキが入って、ようやく2枚めが釣れました。
左隣で竿の曲がりを見ていたエノさん曰く意外に先で曲がるねとのこと。極端な胴調子というわけでもなく6:4よりやや先かな?という程度でしょうか。扱い易い調子です。
この2枚めを釣ったところでお昼休みにしました。
食事の後に釣りを再開したものの、釣果は伸びません。柔らかいえさを打ってみてもハリ掛かりせず、時折スレで掛かるだけです。
えさがなくなったタイミングで替えます。両ダンゴは無理とみてグルダンゴに初挑戦です。グルテンα21:ペレ底:水を50ccずつで作ってみました。
同時にウキを交換します。やはりもう少しオモリを背負う方が釣り易いし、トップが細い方が風の影響を受けにくいだろうと阿吽の底釣用かやボディPCムクトップ10番にしました。
PCムクトップにも関わらず、このウキの方がナジミ幅の調節がうまくいきます。普通はパイプの方が楽と言われるんだけど…。オモリを背負うようになった分だけ扱い易いのでしょうか。手が合うのかな?
釣り方を変更して早々にウキが1目盛りツッ!と入って、3枚めが釣れました。
続く4枚めはえさ落ち目盛りの下の目盛りがせり上がって停まったところを合わせました。食い上げた!と言いながらあわせたのは半年振りのこと?ようやくセッティングが合ってきたようです。
ところが風の影響もあったか、えさがドンドン乾いてボソッとした粘らない感触になってきました。どうやらへら入門当初に買ったグルテンα21が古くグルテンの繊維が劣化し、粘りの出ないえさになってしまっているようです。やっぱり3年モノはダメか…。
14時を回って終了の時刻が近づくにつれて、えさに手水を打ちながら練り込む状況です。新しいえさを作るタイミングを逃したし…このままなんとかならんモンかな?と手直しを続けます。
というのもアタリはちゃんと出るんです。しかもイイのが。ハッシ!と合わせるとギュン!と引いて、おっ!これはイイんじゃない?と話しながら、手前まで寄せてくると口に掛かったハリがピッ!と外れてしまうのです。なんと4連続口切れという珍しい出来事まで起きてしまいました。なんで?
口切れ連発というのは竿のせいじゃないよね…?ハリが小さいのかな…?とエノさんと話すも、原因についぞ心当たりがありません。水面に顔を出してからハリが外れるのでは、対策も思いつきません。
頑張ってアガリ一枚を、とボウルに残るえさを最後まで打ったのですが、終了はこんな結末でした。
一方エノさんは無事アガリ一枚を釣り上げました。
二人で後片付けをすると、池には他に2人のお客さんがいるだけでした。今日は静かな環境の中、入魂の儀式が無事完了したので良かったのですが、底釣り修行の道遠しの感アリですな(笑)。
本源師12尺の感想としては、紋竹模様に笛巻きの塗りは伝統的な意匠で結構好きです。本調子の使い易い竿と聞いていましたので伝統的なへら竿をイメージしていたのですが、中身は随分現代的でした。
やや先の方で曲がり、浅ダナもチョウチンもこなしてくれそうなオールラウンドで、いかにも昨今のカーボンロッドと思わせる軽さは恐らく高弾性カーボンシートを薄く巻いて作ってあるのではないか?と思います。竿先を振るとピュン!と返りが随分早い気がします。テーパーデザインでへら竿の調子を作り出しているのでしょう。そのためか竿を立てているだけでは魚が寄ってきません。魚を引く竿ですね。
今日ではへらぶなが大型化し、混雑する釣り場でグイッと魚を引いて寄せてきますから、理に適った作りだと思います。けど魚が掛かると竿を立てて矯めちゃうタイプの僕にはちょっと物足りないです。魚が引いて竿を絞った分だけ伸びようとする力を溜め込んで反発し、結局釣り人が何もしないでも魚を浮かせてしまう竿が好みです。
僕はこの竿で底釣りを重点的にやろうと思っていたので、底からゆっくり上げてくる力が漲る感覚は捨てがたいところです。重くても粘る竿の方が向いているのでしょう。
これはカーボンの素材の厚みのあるチューブが曲がった分だけ魚を浮かせる力(リフティングパワー)となると考えると、現在の技術と相反することになります。高弾性カーボンで軽く作って、やりとりは竿を引いて取り込む方向性でテーパーデザインを工夫しているのに、竿の肉厚を厚くすれば重くなり、硬すぎる竿になります。何より製造コストが掛かり過ぎて、せっかくの技術が生かせません。
良い竿だと思うんですけど、思い描いていた印象とは若干違っていた、僕の好みは古い竿にありがちなタイプだった、ということなんでしょう。
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