見知らぬ土地まで走るために
ロードホッパー type5 EVOには、フロントフェンダー(前輪の泥避け)がありません。理由は無い方が恰好良いからという見た目最優先のデザインがなされています。従って雨の日には乗れません。前輪が巻き上げた水滴の中に突っ込んで、ヘルメットに水飛沫が飛んでくるから、視界が遮られて危険なのです。
雨の中を好んで走ろうとは思いませんが、遠くまで出かけた際に雨に降られる可能性はあります。2017年10月6日、台風25号が日本海を北東へ進む際は、関東は雨の心配が無いものの、東海から近畿にかけては雨が避けられないとの天気予報が出ました。今降っていなくても、結局雨上がりの濡れた路面では走行不可と考え、バイブズミーティング@大阪への参加を断念しました。
そもそも旅に出るバイクではないのですが、やはりロングツーリングにも出たいのです。雨に突っ込む気はなくても、上がったところを通るくらいはこなしたい、とフロントフェンダーの装着を考えました。
ロードホッパーを購入した時、ページワン春日部にはフロントフェンダーを装着している車体が在庫にあったんです。
川原さんにお伺いしたところ、古いタイプの車体に適合するもので、2016年式には装着できないというお返事でした。この車体は2007年式と年数が経っていたので、今後の整備や部品供給の点も不安があるし、フロントフェンダーがあるだけで買うワケにはいかないなぁ、と候補から落としたのでした。
インターネットで情報をかき集めると、名古屋のリアルホッパーのサイトでロードホッパーにフロントフェンダーを装着した写真を発見しました。問い合わせてみると過去にアメリカで発売されていたパーツを改造して取り付けた。今後の販売は未定とのことでした。
なるほど。ページワン春日部で見たフロントフェンダーは改造次第で取り付けることができるかも?と気づいたのですが、さりとて在庫の車体から剥ぎ取るコトなんかできません。別途部品で購入したいのに…。マイゴッド。
リグニス東京のブログ、2018年5月26日の記事で当時物のフロントフェンダーと記述があったので電話を掛けて問い合わせると、以前にプロトで扱っていたんですよ。可動部分が多いためか結構壊れたって話があったので、今はもう作ってないかも。在庫も無いので、ウチのお客さんでもいろんなパーツを持ってきてはアレコレ工夫されていますねと教えてくれました。
次第に情報が集まってきたこの段階でイチから製作するしかないかも?と考え始めました。アトリエのメンバーであるノハラさんが以前、ハーレーのカスタムショップをやってる知り合いがいると言っていたのを思い出して相談したところ、現在は一見さんをお断りしているとのことでしたが、オーダーを受けてくれるとのことで紹介して頂きました。早速電話をかけて、11月4日(日)にお伺いすることになりました。
それまでの間は、目を皿のようにしてネットでフロントフェンダーを探します。
インスタグラムを流れていると、愛媛にあるA-Rahooモーターサイクルズが、2018年10月1日付け投稿でフロントフェンダー装着例の写真を載せていました。最近じゃん!と色めき立って電話で問い合わせてみるとプロトで無塗装のパーツの取り扱いがあって、前回は1か月半くらいの納期で取り寄せた。お値段は約10万円。これに純正の塗装を施したら5万円ほどしたとのことでした。
これ幸いとお願いすると前回の分で在庫は終了、次回入荷の予定は未定とリアルホッパーと同じ返事でした。間に合わなかったのね…。
さらに引っかかったのは福島市のブイモンスターのブログ2014年3月1日の記事でカスタムのためにフロントフェンダーを取り外してお蔵入りとありました。メールでまだ蔵で眠ってますか?あったら譲って欲しいんですけどと問い合わせたら、既に売ってしまいましたとの返事でした。残念。
同じ頃、ヤフオクにロードホッパー type5 EVOの車体が売りに出ていました。ショップではなく個人で出しているのですが、車体写真にはフロントフェンダーが付いているのです。ウォッチリストに入れていたら、フロントフェンダーを取り外して再度売りに出していることに、10月29日の夜、気が付きました。
フロントフェンダー装着時の画像
すみません。勝手にコピーしちゃいました
早速、掲載されていた携帯電話の番号へ電話を掛け、不要であれば取り外したフロントフェンダーだけ譲って頂けませんか?とお願いしました。
尋ねると、30数万円かけてショップにオーダーして製作したが、4年間で3回部品が割れてしまったとか。やはりロードホッパーの大きな振動に耐えられない?プロトが扱っている部品と同じように壊れるのでしょうか?
カスタムショップでイチから作ってもらうにしても、何枚かの写真だけから壊れない完璧なフロントフェンダーを作るのは無理な注文でしょう。このパーツを見ながら相談すれば壊れないような改良、あるいは壊れないものを新規製作できるかも知れません。
意を決してその部品を譲って下さい。プロトで扱っている部品に倣って10万円でどうですか?とお願いしたところ、譲っていただけることになりました。
10月31日に代金を振り込み、11月2日に部品が到着しました。素早い対応をして頂いて、大変ありがたいですね。
届きました
譲って頂いた方にウィークポイントを尋ねると、スプリンガーフォークと車輪を繋ぐロッカーと呼ばれる部分に耳状の部品を溶接して、ステーをボルト止めできるようにメスネジを切っていたけど、この溶接した部品が割れてしまうそうです。この部品については何かしらの対策が必要とアドバイスを頂きました。
取り付け部品を溶接していたため取り外しができず、フェンダーステーも切断してナットの頭を落としていました。従って利用可能な部品はフェンダー本体だけです。いささか高い買い物になってしまいましたが、これも勉強と割り切るしかありませんね。このフェンダーの部品をもって、相談に行ってきます。
11月4日(日)朝10時半、車にフロントフェンダーを積み込んで、カスタムショップに向かい、11時過ぎに到着しました。ノハラさんに紹介して頂いたショップのオーナーにご挨拶し、おおよその希望を理解して貰ったところで、次は技術的な検討…とその前に、一旦帰宅します。今度はロードホッパーで再びショップを訪れ、車体を見ながら相談に乗って頂きました。
取り付け方法についてはやはりロッカー部分にステーを取り付けるのが一番スマートだろうとのアドバイスを頂きました。
フロントフェンダーを譲って頂いた人は、ロッカーにステーを取り付けられるように耳状の部品を溶接する方法でした。これが容易だが、やはり振動で壊れる可能性がある。最も強固な製法はステンレス材を用いて、ロッカーを再作成してしまうこと。ステー取り付け用メスネジのスペースを取った形で再設計するのがベストということでした。
一点モノの部品を作るので高額になるのが難点です。オーナーは終始、この費用を気遣っておられました。高くなってしまう理由のある手法を説明しながらも、一方で、安くするための対案と劣る点を合わせて話してくれるのがとても好印象でした。
ステンレス削り出しで作ると一点5万円にはなるだろうとのことなので左右で10万円。ステーも新規作成、フェンダーは加工&再塗装なので、やっぱり30万円くらいは掛かってしまいそうが気がしています…。ですが、長くお付き合いしたいことと、とにかくブルブル震えるバイクなので強度を優先させる方向でお願いします。
製作にあたっては車体を預ける期間が発生してしまうこともネックです。今回、製作の方向性だけは共有できたので、冬のシーズンオフ、年明けくらいに入庫して製作にあたってもらうことになりました。
その2へ続く
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