トップ釣行記

テキサスの大将
アメリカ産新戦力に挑むの巻

霞ケ浦のアメリカナマズを撃て

2024-04-06

 テキサスの大将ことTexas Generalに新たな作戦指令が下されました。今回の作戦は関東平野東部における戦略的要衝地霞ヶ浦に配備されたアメリカ産新戦力であるチャンネルキャットフィッシュ(俗称アメリカナマズ)が、我々フライフィッシャーに対する脅威足り得るのか、その戦力を調査し攻略せよとの内容です。
 とはいえアメリカで開発・設計がなされたTexas Generalにとっては旧知の仇敵なのかも知れません。バスバギング向けに開発されましたが、彼の地に数多いる兄弟はアメリカナマズを釣り上げてもいるはずです。

 実は以前にフライフィッシングでアメリカナマズを釣ったことがあります。2019年5月の宮城アングラーズビレッジでのことでした。それ以前には狙うも釣れなかった日もありましたし、成功失敗各々から教訓を抽出し、戦略を練ります。

初のアメリカナマズbyフライ
宮城アングラーズビレッジにて

 アメリカナマズが底近くに棲み、底にある餌を摂ることは広く知られており、釣るにはフライが確実に底に着いていることが肝要です。今回はダンベルアイ付きのラビットファーマツーカを選びました。ダンベルアイから沈むためハリ先が上向き(キール)になり、根掛かりしにくい特徴を持つフライです。

実績充分
ラビットファーマツーカ(ダンベルアイver)

 さらに匂いの強い餌に強く反応するとの有力情報があります。IGFAルールにおけるフライフィッシングでは味付き匂い付きは禁止ですが、私は記録を狙うわけではないので、ルアーに味と匂いを付ける漬け込み液(フォーミュラ、フィッシュセントとも)にフライを漬けてみます。今回はずいぶん前に買って出番が無かったBerkleyのGulp! Alive! Marinade(2024年4月時点、Marinadeは既に生産終了)のShrimp(エビ風味)を使います。毛足の長いラビットファーに液体が染み込み、長くジワジワと滲み出るだろう、きっと相性が良いに違いないとの推論に依ります。

これが臭いのよ
ガルプ!アライブ!マリナード(エビ風味)

 実のところ、フライフィッシングって底を狙うにはあまり向いていません。重いフライは投げ辛いし、軽くすれば底へ届くのに時間が掛かります。糸の巻き取りも遅いので、遠くへ投げて底をズルズルと長く引っ張って魚を広く探る方法には、とても効率が悪いので避けるべきなのです。

 一番良いのはターゲット(魚)が居ると確信できる場所をピンポイントで狙撃(フライを打ち込む)する戦法です。水深が浅ければ軽い仕掛けでも速く底へ届くので尚良し、です。
 水深が浅く、アメリカナマズが居る確信を持てること。これらを満たすポイントとして、霞ケ浦の脇にあるホソ(用水路)に目星を付けました。ホソでの乗っ込みマブナ釣りでは、過去に何度となくアメリカナマズに糸を切られる悔しい敗戦を繰り返してきました。これを逆手に取り、今度はアメリカナマズを本命として狙います。

やってきました
行方市観光物産館「こいこい」

 Xデーは2024年4月6日。決戦の舞台である霞ケ浦の畔に建つ行方市観光物産館「こいこい」にやってきました。ここのイートインコーナーでは霞ケ浦の特産食材を使ったハンバーガー、行方バーガーがあります。その中の一つがアメリカナマズを使ったなめパックンです。

やってきました
なめパックン

 腹が減っては戦はできぬ。敵を知るには食べてみるのが何より、と理由を付けてみますが、単純に以前から食べてみたかっただけなんです。
 食べてみるととても淡白で食べやすい白身です。もっと主張する味なのかと思っていました。どんなソースでもケンカすることなく合うだろうな…と思わせるクセの無さ。業務用白身魚として使い易い商材と見受けられます。うむ、旨かった。

 いよいよ決戦の舞台へ乗り込みます。当作戦本部でコードネーム東南角地(とうなんかどち)と呼ぶホソのポイントへやってきました。
 ここはマブナ釣りを何度やってもアメリカナマズだけ釣れる悔しい思いを続けてきたポイントです。図らずも期待が高まりますね(苦笑)。

 まずはこのポイントにアメリカナマズが居付いているのかを確認します。普段通りにマブナを釣っているズーム式渓流竿(HS雪渓 硬調36MK:ダイワ)を2.8mの長さにセットし、道糸1号で作ったシモリウキ仕掛けを繋ぎます。2本のマブナ5号ハリにキヂを刺して、護岸脇の水草の茂みに振り込みます。
 少しずつ餌を落とす位置を変えながら茂みの周りを探っていると、シモリウキがすーっと引き込まれました。すかさず合わせるとギュン!と強く引き込まれます。竿の弾力で堪え、ヒキをいなしてタモに導いたのは50cmほどの本命アメリカナマズでした。やっぱり東南角地にヤツは居た!

敵影確認!
やはり居ました

 無事?敵影を確認できたので、いよいよテキサスの大将の出陣です。車へ戻ってタックルを取り出し、準備します。

これでいくぜ
対アメリカナマズ用タックル

ROD: P.H.Y Texas General Replica 8ft #8
REEL: LiteSpeed-3(LAMSON)
LINE: Mastery WF8F SWT(Scientific Angler's)
LEADER: Perfection 0X 5ft(Tipp&Butt cut)(VARIVAS)
TIPPET: SuperTippet FluoroCarbon 1X 3ft(VARIVAS)
INDICATER: E.Z GLO Size.L(SMITH)
FLY: RabbitFur Matuka with danbel-eyes
FORMULA: Gulp! Alive! Marinade Shrimp(Berkley)

 仕掛けはインジケーターと呼ばれるフライ用のウキを使います。底に着いたフライを魚が食ったら糸が引っ張られ、水面に浮かんだウキが動くという算段で、単純な居そうな所に投げ込んで待つ戦法です。

 ティペットにフライを結んだら、ビニールの小袋の中にGulp!を数滴垂らします。数滴だけでも強烈な匂いが漂ってきました。糸が付いたままフライを小袋に入れて、チャックを閉じたらビニールの上から手でフライと液体がなじむように揉み込んでやります。
 ヤバい液体はウサギの毛に塗り込まれ、毛と毛の隙間にも入り込み、毛皮に染み込んで、水中でジワジワと滲み出すように…と妄想しつつ、念入りにビニールをモミモミします。うむ、実にアヤしい(苦笑)。

 しかしながらフライをブンブンと振り回して、強烈な臭いのする液体を辺りに撒き散らすことは避けねばなりません。うっかり自分の服にでも付こうものなら地獄を見ることになるので。これが化学兵器の恐ろしさ(笑)なのですね…。
 ヤバい汁が飛び散らないように、そっと下から優しくフライを振り込みます。その動きは先程のシモリ仕掛けの餌釣りとほぼ同じ。フライキャスティングってどんなのだったっけ?(笑)

 フライを投じたものの、一旦水から回収してインジケーターとフライの距離(ウキ下)を調節します。水深より長いのは当然ですが、魚が食ったらスーッと動いたり、緩やかに引き込まれたりするだろうと思われる距離感を探すしかありません。これはフィーリングというか…勘ですね。
 ウキ下がちょうど良い距離になったかな…と感じられたら、良さげな場所に投げ込んでアタリを待ちます。果たしてアタリは出るのか?Gulp!まみれになったウサギの毛はアメリカナマズを魅了できるのか?

動画

一部始終
対アメリカナマズ、かく戦えり(3min21sec)

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MP4 : MP4(365MB)

 やったー!やりました。テキサスの大将に新たな戦果が加わりました。
 糸が杭に巻かれてしまうなど、あわや切られてしまうところでしたが、よくぞ堪えてくれました。まさに激戦と呼ぶにふさわしい猛烈な抵抗でした。

ミッション完了!
ついに釣りました

 釣り方としてフライフィッシングらしいという点はありません。むしろフォルスキャストを避けたい…と思う方法はフライフィッシングから全力で遠ざかっているのでは?(苦笑)
 水草や杭などに絡まる・擦れるは当たり前。強い竿と強い糸を使って確実に獲るカバー撃ちは、フライでは取られることの少ない手法だと思います。

 しかしテキサスの大将はもともとブラックバスを釣るための竿なのです。水面にたくさん浮かぶ蓮の葉とか、湖岸に生い茂る葦などの周りに投げて、そこで掛かった魚をグイっと引き寄せることを想定して生まれてきたはずなのです。だからこの竿の本領はカバー撃ちにこそあると考えてます。
 中空構造(チューブ状)のカーボンロッドに比べて、中身の詰まったバンブーロッドは表面の傷に強く、粘るように曲がって折れにくく頑丈です。遠距離のキャストは苦手ですが、代わりにそーっと近寄ってカバーもお構いなしに魚を直撃!するパワープレイこそが身上なのです。

 昨今すっかり減ってしまったブラックバスに代わるターゲットを相手に、久しぶりに出番が巡ってきました。ホント、何年ぶりの出撃でしたかね?大将。

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