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初めてのベイトタックル

あの頃、ブラックバスを釣るならベイトタックルしか考えられなかった
Amorphous WHISKER PHANTOM AWB-561LR : DAIWA
PHANTOM MAGSERVO SS-15AC : DAIWA

AWB-561LR + SS-15AC

2024.8.20 全面改訂

 僕が中坊だった80年代の中頃、ブラックバスはやや身近な存在になっていたかと思います。
 どこでも釣れる訳じゃなかったけど、近所の池のいくつかではいるらしいという噂を耳にしていたし、実際チャリンコでちょっと出張っていけば釣る事も不可能なことでは無かったのです。
 でも相変わらず腕前が上がらないので、なかなか釣り上げることは難しいままでした。そうするとやっぱり道具に頼りたくなるというか、あの道具だったらきっと…という気持ちが湧き上がってくるお年頃に差し掛かっていたわけです。

 その中でも一番の憧れはベイトリールと専用ロッドでした。友人が使っているのを見たら欲しい気持ちは膨らんでいくし、カタログを見ながらアレがいい、コレもいいかな?などと思いを馳せていたのでした。

 お目当てはダイワのファントムマグサーボSS-10ACでした。今ではお馴染みになっているサムバーがクラッチになっているオートキャスト機構がダイワに初めて装備された新発表のモデルでした。
 クラッチボタンのあるリールは友人のSS-10を触ったり、スライドさせるようにクラッチが切れるシマノのバンタムは触ったことがあったのですが、どんな操作感なんだろうと妄想を馳せながら親指を動かしているうちに、僕の親指はマムシ指になってしまうほどでした。

動画

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マムシ指(無音声) 5sec

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Macintosh / Windows:MP4(983KB)

 そして中学1年の時(1985年)、貰ったお年玉を握り締めて、当時国鉄吹田駅前にあった釣具屋さんに1月4日くらいに行ったのです。雪のような雨の降る寒い日だったことを覚えてます。
 いざお店に行くともう1サイズ大きいSS-15ACが置いてあって激しく悩んだのです。大きい方が何かとエエでと店のおっちゃんに言われて、SS-15ACにしたのでした。

PHANTOM MAGSERVO SS-15AC
ファントム マグサーボSS-15AC

 15番は10番よりスプールが横に広くて糸巻量が多く、15番の指定糸巻き量は以下の通りです。
  4号(直径0.330mm・10lb相当) 135m / 150yd
  5号(直径0.370mm・12lb相当) 100m / 110yd
  6号(直径0.405mm・14lb相当) 80m / 90yd
 ボディに糸巻量が印刷されているのは珍しいかもしれませんね。購入してから2024年で39年が経過しましたが、まだだいたい読み取れるコンディションですv(^^)。

PHANTOM MAGSERVO SS-15AC
ラインメモ

 この前にはハンドル逆転スイッチが付いています。この頃のリールには珍しくありませんでしたが、令和のリールには付いていない機構ですね。

Amorphous WHISKER PHANTOM AWB-561LR

 ロッドは当初リョービの5本継ぎグラスロッドを使っていたのですが、翌年のお年玉を握り締め、大阪・上新庄のスーパーマーケット、イズミヤの1階にあったOutingという店へ買いに行きました。ダイワのアモルファルウィスカーファントムAWB-561LRです。
 当時のシマノの新型バンタムスコーピオン(ローランドマーチンが宣伝していたブランクとリールシートが一体型となったロッド)と悩んだ末、やっぱりダイワ同士がいいだろうと思って決めたのでした。

Amorphous WHISKER PHANTOM AWB-561LR
スペックを示す印刷部

 全長5フィート6インチ(165cm)、ルアーの適合重量は5-18g、推奨ラインは6-14lb。クランクベイト、スピナーベイト用、表層~中層とプリントがあります。

Amorphous WHISKER PHANTOM AWB-561LR
コルクのガングリップ

 やはりコルクのガングリップはルアー小僧たちの憧れのアイテムでした。これが格好いいと恋焦がれたものです。

Amorphous WHISKER PHANTOM AWB-561LR
リールシート

 リールシートの横に書いてあるSENSOR GRIP(センサーグリップ)は、当時流行り始めたブランクスルー(ブランクがリアグリップの中まで通っている貫通構造)で、リールシートの表面に穴を空けてブランクに指が直接触れることで僅かなアタリもセンサーのように感じるというふれこみでした。
 こうしたブランクスルー構造だとリールシートをオフセット(ブランクより下にずらすこと)ができないので、背の高い丸型リールでは竿とリールを掴みにくくなります。この後、ブランクスルー構造の普及に伴い、リールは背が低くなるロープロファイル化、非丸型の開発・躍進が進んでいきました。

Amorphous WHISKER PHANTOM AWB-561LR
フックキーパー

 フックキーパーが付いていた時代で、各社思い思いの形を試行していたものです。この竿は二重構造というか、ちょっと手の込んだ形になっています。

 ようやく揃えたベイトタックルを使うのが嬉しくて、こればっかり使っていました。当時のメインだった7gのスプーンや5gのジグスピナーなども、このベイトタックルで投げていました。
 本当に当時はバスを釣るならベイトタックルという雰囲気だったんです。ルアーが軽くてもスピニングタックルを使わないでベイトで投げるのが当たり前、というか格好良いという意気込みだったんですね。

Amorphous WHISKER PHANTOM AWB-561LR
ティップ

 大学に入学して、東京に移り住んだ時にも勿論持っていきました。しかし大学1年の時に車のドアに挟まった拍子にティップが折れてしまいました。そのままトップガイドを付け直すとトップガイドと2番目ガイドの間隔が不自然に狭く不格好になるのがイヤだったので、思い切って全てのガイドを外して、位置を合わせ直して巻き直しました。ですので全長が157cmになっています。

Amorphous WHISKER PHANTOM AWB-561LR
トップガイド
これも純正品ではありません

 写真で拡大すると、エポキシ塗料に泡が混入してブツブツしているのが見え、綺麗に仕上げるコツを会得する前の作業だと分かります。今ならもう少しマシな仕上がりにできるでしょうが…。これもまた思い出の一つと言えましょうか。

Amorphous WHISKER PHANTOM AWB-561LR
バットガイド

 本稿執筆時から直近で使ったのは2016年の七色ダム釣行です。時折思い出して使って楽しむと良いのですが、気楽にブラックバス釣りで遊べる釣り場が少なくなってきました。いずれ…と思っているうちに、どんどん年月が流れてしまうのでしょうね。

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