ホームツーリング

SSTR2020に参加しました

太陽を追い掛けろ

2020-10-30~10-31

巻頭言

 Sunrise Sunset Touring Rally(SSTR)という催しが開催されます。これは日本列島東側の海岸のどこかを参加者が出発地と定め、夜明け以降にバイクで出発し、いくつかのチェックポイントを通過して、日没までに石川県の千里浜ドライブウェイに辿り着くというバイクツーリングラリーイベントです。
 ラリーと名が付いていますが、他人と競争せず、順位も付けず、ただ目標を達成するために走るので、ミッションクエストとかオリエンテーリングと例えた方が分かりよいかも知れません。
 冒険家の風間深志氏が発案しスタートしたら、年々人気となり参加者が増え、申込の抽選がなかなか当たらない有名イベントになりました。これにトレーラーを牽いて参加して、アチコチから集まってくる旅するライダーにトレーラーがどう映るのか、反応を見てみたいと思ったのです。

 ところが、当初の開催予定日は5月23日。翌24日に全体集会が行われるはずでしたが、コロナウィルス感染拡大の影響で延期となり、代替日程の10月24日、25日全体集会も開催不可となってしまいました。
 代わって取られたのが期間オープン化で、10月25日~3月31日の間に各自で実施(スマートフォンを使った位置登録は期間中1日のみ可能)と発表されました。ゴールゲートは時期限定で設置のみ。大会本部ブースも置かず、ゴールイベントも無しとなりました。
 その後追加措置がとられ、10月1日~23日はスマートフォンの位置登録システムを使わない方法で参加が可能となりました。

 密を避けるためやむを得ない措置とはいえ、これではトレーラーを雑誌などのマスコミ関係者にアピールするという目的は果たせそうにありません。キャンセルも考えましたが、主催者の責では無いから参加費10,500円は返ってきません。それならばトレーラーのアピールは諦め、旅先で出会った人達、それも旅を志向するライダーの感想を訊いてみるため、トレーラーを牽くことにします。

日程の検討

 決行日は10月30日(金)にしました。山越えで日本海側に出る以上、冬は無理です。春分の日以降は日照時間が伸びますが、3月末までは山道の残雪や凍結があると考えると、日程を後にするほど不利なだけで、行くなら早いうちに限ると判断しました。多分他の参加者も同様に考えるでしょう。
 11月2日(月)に有休をとって4連休が理想ですが、宿泊の確保が他の参加者との競争になりそうなので、日程を前倒しにしました。

事前点検

 SSTRの出発前に点検を受けておこうページワン春日部へ依頼し、10月11日(日)に入庫し、18日(日)に引き取ってきました。この帰り道には、八潮のカフェはらっぱへ行って情報収集をしてきました。

出発地の確認

 出発地は東海汽船芝浦営業所脇です。25日に事前に下見して決めました。

ルートの検討

 30日、日の出(東京芝浦)の時間は6時2分です。石川県金沢の日の入りの時刻は16時36分。5月と異なり昼が短く10時間半しかありません。ロードホッパーで一日500km超を走るのは未体験だし、トレーラー牽引だと80km/hが速度上限となります。従ってルートは楽にスッタカ進むを重視します。

 SSTRにはチェックポイントが設けられており、施設を訪れてスマホで位置登録をします。指定道の駅が3ポイント、それ以外の道の駅が2ポイント、SA/PAが1ポイントで、ゴールまでに計10ポイントを獲得する必要があります。

夜も寝ないで昼寝して考えました
ルートです
(クリックすると拡大します)

 緻密なザックリ計算を何度繰り返してもギリギリです。都内で渋滞に引っかかるとアウトです。何度トレーラーの牽引を諦めようか…100km/h出しても捕まらないなら余裕を持ってイケるのに…と考えたことでしょう。
 ゴール後の宿泊は羽咋の旅館のちりはまホテルゆ華を予約しました。ここは快適な環境で体力回復に努めねばなりません。オトナの底力を使ってでも…と思ったらGoToキャンペーンで宿泊代が5,020円とお得になってました。

準備

 SSTRに参加する人は車体にゼッケンステッカーを貼る必要があります。ところがロードホッパーにはステッカーを貼るスペースが少ないのです。そこで左前方に付けている予備燃料タンクに中サイズのステッカーを貼りました。

なかなかイイ感じ
ゼッケン番号は1246です

 ゼッケンステッカーはグローブトロッターに貼り付ければ簡単なのですが、レインカバーを掛けた際に見えにくくなります。これではオフィシャルの方へも迷惑でしょうから、B4サイズのクリアファイルを切って、ゼッケンプレートを作成しました。

簡単です
ゼッケンプレート

 これをグローブトロッターの革ベルトにダブルクリップで留めて、ROKストラップ(荷物固定ベルト)で抑えてしまいます。レインカバー装着時にはROKストラップにダブルクリップで留めます。カバンの右側に大ステッカー、左に中ステッカーを付けました。

こんな感じ
ゼッケン

 29日(木)仕事を終えて帰宅したら、出発の準備をします。天気予報を見ると雨が降らないっぽいのでグローブトロッターで行くと決めました。本格の旅ライダーにはコンテナケースの方がウケそうですけどね(苦笑)。
 カバンの中身は着替えの他に、備えとしてカッパ上下、ブーツカバー、レイングローブ、レインカバーの雨対策品、車載工具などを入れました。荷物が軽いとトレーラーがふらふらするので、ある程度の重さは必要です。
 持ち物はグローブトロッターに詰めて、他のカバンは装備しません。シリンダーザック(小)とROKストラップ(細)をカバンに入れておき、(お土産を買い過ぎて)容量が足りなくなったら荷台に縛り付けられるようには準備していますが、シンプルにグローブトロッターのみを基本とします。
 ただしウェストポーチは装備します。財布、カマボコ板(砂浜でサイドスタンドの下に敷く)、SSTRオフィシャルガイドブック、ボールペン等は乗車時にすぐに取り出せないと面倒です。

 出発準備を終えたら、念を入れてバッテリーテンダーで充電し、早く寝ます。

SSTR当日(10月30日)

 日付が変わって30日(金)の3時に起きて準備を始めます。服装は大いに悩んだのですが、一週前のスタート地ロケハンで結構寒かったことが大きく役に立ちました。
 一日で長距離を走るので、上半身にはサポートインナーTIGORA、下半身にはCW-Xを着ます。シャツとウルトラライトダウン(ユニクロ)で温度調節し、デニムライディングジャケット(Ocean Pacific)を着て、風を防ぎます。
 手首にまきポカをして、グローブにはインナーグローブ(GOLDWIN)を重ねます。ネックウォーマーは持ちませんがマスクをして、寒さ対策にしちゃいます。
 ズボンはFUNCTION GEAR 03 TOUGH(EDWIN)にしました。ケブラー素材入りのジーンズです。

さて出発
出発前のメーターです

 全て準備が完了した4時半、まずはスタート地点となる東海汽船芝浦営業所脇へ向かいます。今は名前が変わってしまった母校を出発地にできないかな?と思ったのですが、海沿いに認定されない可能性があったので。
 川口西入口から外環道に入って、首都高5号池袋線、都心環状線を経て、1号羽田線の芝浦出口から降ります。ロータリーを塞いだ路肩にバイクを停めて、時計を見ると、5時半にもなってません。想定以上にすんなり走れました。

 近くのコンビニで朝食を買おうと思ったら、ふと昭和な雰囲気のお店が開いています。

こういう店がまだあるのね
ヤジマベーカリー

 入ってみるとサンドイッチやバーガーなどがあってパン好きにはたまらない感じ。目移りしつつもメンチカツバーガーとシューマイドッグ、コーヒー牛乳を買いました。

揚げシューマイがたまらん
シューマイドッグです

 朝ゴハンを食べたら辺りが明るくなってきました。出発地の記念撮影を行います。

うむ
東海汽船芝浦営業所脇からレインボーブリッジ

オドメーター
9095.8からスタートです

 Yahoo!天気のアプリだと日の出は6時1分となっていましたが、念のため6時3分、SSTRのアプリから出発前の位置登録をして、SSTR2020をスタートします。
 このスタート地の最大のメリットは、首都高速芝浦入口が近いことです。一番恐れていたのが都心環状線の出勤渋滞です。1号羽田線に乗って、浜崎橋JCTでC1都心環状線に入って、竹橋JCTから5号池袋線へと進むルートをできるだけ早い時間に通り抜ける作戦です。
 走ってみると車の量は増えていたものの、渋滞が起こるほどではなく、すんなりと走ることができました。5号池袋線の上り車線(対向)は早々に渋滞していましたけどね。

 美女木JCTから外環道内回り(西行)へ入ると、和光の辺りで渋滞の表示がありましたが、概ね順調でした。大泉JCTから関越道へと入ります。最初の休憩・給油は三芳PAです。到着予想時刻は7時半だったのですが、7時に着きました。

貯金ができた
三芳(下り)PAにて

 最大の関門はこの出勤渋滞と考えていたので、すんなりと来られたのはラッキーです。
 トレーラーを牽いているとバイク専用スペースには停められないので、車用の1コマに停めてスタンプを押します。SSTRシステムで位置登録したら1ptゲットです。まだまだ先は長いので、給油をしてスッタカ先へ進みます。PAのスタンプをラリー帖に押すのを忘れてました。

 続いて嵐山小川ICで関越道を下りて道の駅おがわまちへやってきました。到着予想は8時15分頃と見ていましたが、8時に到着しました。

秋の風情です
道の駅おがわまちにて

 ここはSSTR2020の指定道の駅なので3ptをゲット(累計4pt)できます。明日ならたくさんのライダーが居るでしょうが、平日金曜ですからそれらしきバイクは他に誰もいませんでした。スタンプを探すも建物が開館前で、位置登録を済ませ、サッサと先を急ぎます。

 再び嵐山小川ICから関越道に乗って、上里SAで給油・休憩です。到着予想時刻は9時でしたが、8時45分頃の到着です。ここでスタンプを押して、位置登録したら1ptゲット(累計5pt)です。

順調です
上里SA(下り)にて

 予定より15分ほど早く着くと、落ち着いて休憩が取れるのがいいですね。
 上里SAを出ると、藤岡JCTから上信越道へ入り、東部湯の丸SAで給油・休憩です。到着予定時刻は10時半でしたが10時15分頃の到着です。ここでスタンプを押して、位置登録して1ptゲット(累計6pt)です。

車体の写真を忘れてました
東部湯の丸SA(下り)にて

 東部湯の丸SAに入ってくる時、車体前方からカタカタ音がしたのです。くるっと一回り見たのですが異常は発見されず。そのまま出発しても音がなるので、加速レーンで停まって、再度確認したのですが、よく分かりませんでした。この時、手間を惜しまずに点検すればよかったのですが。
 SAを出て本線で加速していたら、フロントフェンダーの右側の固定用のステーのボルトが二本飛んでしまったことに気づきました。慌てて路肩に停めて、どうしたもんかと思案します。

あ!無い!
ボルトが2本外れて、ステーが離れてます

 すると早々に高速隊のパトカーがやってきて、隊員さんに事情を話すと、なんと東部湯の丸SAまで歩いてボルトを探してくれるとのこと。ありがたや。
 その間、無い知恵を絞って考えたのが、コードラップ(ねじりっこ)で仮留めして、この先に上田菅平ICで下りて、ホームセンターに駆け込んでボルトを調達することでした。

 結局、高速隊の方はボルトを発見できず(頑張ってくれてありがとう)、ハザードを出して走り出したもののコードラップはあっと言う間に吹っ飛びました(苦笑)。でも路肩を40km/hくらいで走ると、不思議なことにフロントフェンダーの振動が収まる速度ってのがあったので、これなら壊れなさそう、と約6km走って、上田菅平ICで下りました。よく出来てるわー。

 グーグルマップで探したコメリ ハード&グリーン上田店へ駆け込み、ステン六角ナットM6-15mmとスパナ8-10番を買って、応急処置しました。

良かった
なんとか治りました

 念のため、見えるところの増し締めをしたら12時過ぎでした。もうこれでは日没までに間に合わないな…と覚悟しましたが、まだ走って千里浜を目指せるだけマシです。のんびり走り出します。

 上田菅平ICから再び上信越道に戻り、松代PAで休憩・給油です。東部湯の丸SAからは34kmと近いのですが、この次のガソリンスタンドが90km先なので、給油が必須です。当初の到着予想時刻は11時でしたが、13時の到着ですので2時間遅れですね。ここでスタンプを押して、位置登録して1ptゲット(累計7pt)です。

車体の写真を撮る余裕も無し
松代PA(下り)にて

 再び上信越道を走り出すと、電光掲示板に嫌な表示が出てきました。妙高高原IC-中郷IC 車両火災 通行止めとあります。なにー!
 手前の黒姫野尻湖PAで停車し、ついでに位置登録をして1ptゲット(累計8pt)し、道路情報を確認すると…

上りも通行止めでした
これ、下り(対向)の情報でしたね

 車両火災なんて一年一度くらいしか発生しないんじゃない?なんでこんな時にブチ当たるかな?とブツブツ言いながら、妙高高原ICが近づくと、ポツポツ雨が降り出しました。やめてー!泣きっ面に蜂とはこのことだよー!と、一旦妙高高原ICの料金所で高速を降ります。
 その脇に駐車スペースがあったので、そこに逃げ込み、カッパを着込んで、カバンにレインカバーを掛けます。雨支度だって時間が掛かるんだから、もうやめてよねー。

横着しました
ビニールの上からでもゼッケン見えますね

 雨支度が終わりそうな時に、マツイさーん、解除になりましたという放送が聞こえて、ふと見ると料金所ゲート前で入ってくるドライバーに通行止め情報を知らせていた係員が居なくなっていました。あれ?これ通れるじゃん。

 再び妙高高原ICから上信越道に乗って北上します。対向車線で事故があったようでバスみたいな大きな車が焦げていたのがチラッと見えました。後からニュースで確認すると、トラックの火災だったようで、僕の見たのは骨組みだったのですね。

 そのまま走って行くと、やはり雨が降ってきました。上越JCTから北陸道へ入り、西へ走ると雨雲が切れたのか、次第に雨がやんできました。名立谷浜SAへやってきて給油・休憩します。到着予想時刻は12時半でしたが、15時の到着です。とうとう遅れが2時間半になってしまいました。ここで位置登録して1ptゲット(累計9pt)です。
 ここまで来ると、二昔ほど前に一度だけ車で金沢へ行ったことがあるという程度の、ほぼ初めてと言ってよいエリアになってきます。

日本海へやってきた
名立谷浜SA(上り)にて

 北陸道からは西行きが上り線です。西へ向かって走り、親不知ICで一旦降りて、道の駅 親不知ピアパークへ立ち寄ります。到着予想時刻は13時過ぎでしたが、15時55分の到着です。約3時間の遅れとなってしまいました。位置登録をすると道の駅(SSTR指定外)で2ptゲット。累計で11ptに到達しました。

なぜか亀のモニュメント
道の駅 親不知ピアパーク

 千里浜の日没が16時59分の予定なので、あと1時間程しかありません。行くとこまで行っても次の予定地の有磯海(ありそうみ)SAまでだな…と考え、先を目指します。
 再び親不知ICから北陸道に乗って富山県を進み、有磯海SAへやってきて位置登録をしたのは16時48分でした。14時の到着予想時刻でしたので、やはり3時間の遅れですね。最後の位置登録をして1ptをゲット(累計12pt)して、SSTR2020の終了時刻を迎えました。

日が暮れていきます
有磯海SA(上り)にて

 この際ですから、ゆっくりと休憩をとります。色々あり過ぎて(苦笑)食べられなかったお昼ゴハンを17時になってから食べます。

いただきます
白えびの和風あんかけ丼

 給油をして、想定外の夜走に注意しながら先へ進みます。北陸道を西へ進み、金沢森本ICで降ります。ここからはGoogle Mapsで探したガソリンスタンドのカナショク セルフ金沢東インター店へ行き、最後の給油をしました。
 国道8号線は綺麗なバイパスで、帰宅時の渋滞も無く、速い流れで走れました。船橋JCTから159号線へ入り、白尾ICの辺りからいよいよのと里山海道に入ります。

 大きく右へ曲がりながら下り坂を下り、左から車線が合流する辺りで、突然ハンドルをとられました。何やら窪みのようなものがあったみたいです。

ドライブレコーダーの映像から
白尾の穴ボコ(36sec)

Click to Play
SmartPhone : YouTube
Mac : MP4(17MB)

 車線の左寄りを走っていたのに、ハンドルをとられて右へ弾かれてしまいました。転びそう!と思ったのに、倒れなかったのはロードホッパーの前タイヤの太さのおかげとトレーラーが車体の傾きを抑えてくれたからかも知れません。その瞬間、中央分離帯の柱に右足をぶつけて、あまりの痛さにウインカーを出して左の路肩へ停車するのがやっとでした。
 ぶつけた箇所は脛と足先。車体はどこも当たっていません。しばらく様子を見て、右足の痺れが落ち着いてきたので、骨が折れてなきゃいいけどな…と思いながら、宿へ向けて走り出しました。

酷い場所です
事故?現場

 ホウホウの態で宿のちりはまホテルゆ華に到着したのは20時前だったのではないかと思います。18時チェックイン予定だったので、2時間遅れまで挽回したのですがね。
 フロントでチェックインして、部屋のカギを貰って入室し、カッパを脱いで恐る恐る右足のブーツと靴下を脱いでみると、ああ、こりゃダメだ。親指が明後日の方を向いてる。プロ(医者)に見てもらわなきゃと判断が付きました。

 もう一度靴下とブーツを履いてフロントに行き、お姉さんにこの近くの整形外科の病院を紹介してほしいと相談したら、色々当たってくれて金沢にある金沢医科大学病院に電話してくれました。
 当直に整形外科の医師が居るとのことで、タクシーを呼んでもらって、救急外来へ飛び込みました。

 レントゲンとCTスキャンを撮り、当直の医師に処置して貰って、薬を貰って、タクシーを呼んで貰って、宿に帰り着いたのは日付が変わった1時頃だったと思います。宿直担当のお兄さんを電話で起こして、グローブトロッターを部屋まで運んで貰って、本当に迷惑をお掛けしました。

処置してもらいました
被害に遭った右足

 今日になってしまった10月31日は恐らくSSTR2020の参加台数が最多になると予想されるので、白尾の穴ボコに気を付けろと注意喚起すべく、ドライブレコーダーの映像を切り取って、FacebookのSSTR公式ページ、YouTube、Twitter、Instagramに投稿したら3時頃だったでしょうか。ようやく宿で眠りに着きました。

その2へ続く

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