鞄を載せて長い旅に出たい
どうしてもスリムな車体に拘りたいので、サクマエンジニアリングでの実績があっても二輪トレーラーは採用しません。費用が高くなるフルオーダーになっても一輪トレーラー。では、どんなトレーラーにするか?スケッチを描きました。
一輪トレーラーでは曲がるために車体を傾けます。この際、連結器具は車体の傾きに合わせてトレーラーを傾ける、すなわち捻じるような力を掛けます。車体を傾けるだけなので大きな力ではないと思うのですが、ライダーの左右への体重移動を車体からトレーラーに伝える必要があります。トレーラー連結でよく使われるヒッチボールでは、捻じる力が伝えられないので採用できないのです。
問題はどうやってバイクとトレーラーを連結するか?です。moto-muleの動画で紹介されていたのは、中空アクスルシャフトにもう一本棒を通して、両端にトレーラーを固定する方法です。
リアタイヤの回転軸になる棒をアクスルシャフトといいますが、この棒が中空のパイプ状になっているものがあって、オフロード車などでは珍しくないと聞きます。
市場に流通している中空アクスルシャフトに適合するものがあれば、そもそもが剛性強化を目的としているだけに、容易に、かつ捻じれ方向への強度も確保できるのではないかと思います。
問題点はマフラー(排気消音管)に干渉するおそれがあることです。アクスルシャフトに接続したアームは上下に動きますので、マフラーを短くしてやらないといけません。
もう一つの案が、フレーム後端のウィンカー取り付け穴を使う方法です。
フレームのパイプが繋がっている三角状の板は、アクスルシャフトの力が掛かるくらいですから、一枚板を使ってかなり強力に作られているはずです。これを利用して取り付ければ、かなり手間が省けると思うのです。
そこでplotのサイトの問い合わせフォームからどういう作り方をしていますか?トレーラーを繋いで引っ張っても大丈夫ですかね?と訊ねてみました。
回答は青い丸の部分は一枚板ですが、ウィンカーを取り付けることしか想定していません。重いものを装着したりは想定していないので、負荷をかけるような使用方法はお勧めいたしませんとのこと。そりゃそうだ。
とりあえず中空アクスルシャフト方式でスケッチを描きました。
載せたいカバンの寸法は横幅66cm×マチ22.5cm×高さ40cmですので、荷物を載せるトレーラーの台座部分を長さ70cm×幅23cmとし、目の字状の梯子型にしました。
梯子状の踏板にあたる横の補強部分には、穴をあけてコンテナケースのボルト留めができると理想です。コンテナケースなんて色気がない、グローブトロッターが恰好良いなどと嘯いてみても、背に腹は代えられない…というかコンテナケースの防水性能を羨ましく思う時が来るような気がしてます(苦笑)。
ただボルト留め用の穴が空くことでトレーラー自体の強度が確保できるのか?と思うので、この点はプロに相談したいと思います。
カバンは立てて積載します。横向きに平積みすれば安定するのでしょうが、あえての縦積み、恰好重視(笑)です。トレーラーが傾く前提なのに立てて積む以上、転倒落下防止策(柵?)が必要です。柵は恰好のために採用しないと決めたので、荷掛けベルト(ロックストラップ)をカバンの横に渡して抑えにします。よって荷掛ベルトを固定する縦棒を前後に付けます。これは剛性確保のための構造材として活用できるなら、それもアリです。台車からベルトを天地方向に荷物に回して固定する方法も合わせて使えると万全です。
サスペンションは荷崩れ対策にあった方がいい気がします。サスペンションの無いライダーより優遇されてるお荷物様ってのもどうか?と思いますが、気付いたら荷物が落ちていた…ってのは絶対に避けねばなりません。取り付ける方法はmoto-muleに倣いましたが、プロに相談したいところです。
車輪については、ホイールサイズがあまりに小さいと内輪差ができますが、あまり気にしないでよさそうです。パンク対策のことを考えると、キャストホイールにチューブレスタイヤがいいんでしょうけど、ロードホッパーの前後16インチのスポークホイールにハイト(高さ)のあるタイヤ、のイメージに近いものが恰好良いかな?
後輪よりデカいタイヤは不格好なので、同じ16インチか少し小さいものが希望です。カバンの高さは約40cmで、16インチホイールの直径とほぼ同じです。ホイールが小さい方が取り外した時の取り回しはラクなんでしょうが、クラシカルなハイトのあるタイヤの調達を考えると、同じタイヤ、ホイールサイズが無難かも知れません。カバンの中に予備チューブを入れておけば、後輪、トレーラーのどちらがパンクしても使えますしね。
ナンバープレートとブレーキ灯、ウィンカーの処理はプロにお任せですが、ウィンカーとブレーキ灯は純正に近いもの、ロードホッパーの雰囲気から外れないものを使いたいです。できればこれ?メーカーのオプションかい?と言われたいのです(笑)。
そうなると塗装は黒で車体色に近いもの。シルバーのラインまで入れる必要はありませんが、フェンダーにはあってもいいなぁ。カバンが泥跳ねでドロドロになったら大泣きだから、フェンダーは絶対に必要です。恐らくウィンカーとブレーキ灯の設置のためにも必要でしょう。純正のリアフェンダーに倣う形、色にしたいです。
配線の処理や、強度等についてはプロでないと手に負えないので、材料の種類や形状などは基本お任せでお願いします。
11月23日(金・祝)スケッチとiPadを持ってロードホッパーに乗り、サクマエンジニアリングに行きました。
サクマエンジニアリングのショールームです
対応してくれたのは社長さん(貰った名刺は代表取締役)でした。スケッチを見せながら、またロードホッパーの車体を見ながら相談しました。
僕の想定外だった指摘はトレーラーとカバンを固定しないと、カバンが跳ねて落っこちるよ?でした。転倒防止策の横方向のベルト留めだけでは不十分で、天地方向へもベルト留めが必要、とのことでした。また、ウィンカーは不要とのことでした。
納期は2~3か月。12月アタマにバイクを預けたら、1月終わりから2月中頃、2月中には完成するだろう、とのことでした。料金は概算の見積もりで67万円(消費税込)。別途車輛税や登録手数料等が掛かるそうです。二輪トレーラーのイプシロンSは30万円見当、と比較すると、やはりフルオーダーメイドだけあって安くありませんね。
またフロントフェンダーの計画を話すとウチならFRPで作れますよと言われました。料金は概算で10万円とのこと。料金もそうですが、なによりロードホッパーを預ける先が一か所で済むという点が魅力的です。3月には二つ揃えて使い始められる目途が立つのは非常にありがたいです。
発注に際してはバイクを持ち込んでくれれば帰りは最寄り駅まで送ります。代金の半分を注文時に申し受けます。残りは完成時にとのことでした。
おおよその話が訊けたので帰宅しました。後は決断するだけか…(苦笑)やはり安くないだけに悩みますね。
11月28日(水)出張の振替休日を貰ったので釣りに行こうと思っていたのですが、盛大に寝坊してしまいました(泣)。晴天微風の絶好の釣り日和があまりに悔しいので、そうだ!サクマさんトコに行こう!と決断してしまいました(笑)。そうです。全部初冬の高く澄んだ青空がいけないんです。
お昼前に今日お伺いしても大丈夫ですか?と電話して、午後2時頃に到着すると、社長さんが対応してくれました。社長さんも置いていったスケッチやmoto-muleの写真などを見てはどうやって作るかアレコレ考えておられたようです。そういう点では一週間も経たないうちに発注を決断して良かったのかも知れません。鉄は熱いうちに打ての教訓通り、エンジニアにはその気になっているうちにゴーサインを出すべきです。
社長さんが検討した結果、連結方法はウィンカーの設置穴を使う方法になりました。問い合わせに対応してくれたプロトのお姉さんの忠告を聞かない悪いコになってしまいますが、社長さんの強度的には大丈夫との言葉に背中を押されました。何より取り外しが簡単な方法(僕の希望は工具無しで脱着可)が取れるとの目算には敵いません。マフラーの干渉も避けられますしね。僕が作るとしても、これ使いたいもの。
前回あまり細部を詰めなかったフロントフェンダーについて、ロードホッパーを見ながら検討しました。ノハラさんに紹介してもらったショップに要望していたフェンダーステーを固定するロッカーを別途製作する案は、純正部品相当の精度が出せない可能性があることと、コストが相当に掛かってしまう(多分概算の10万円で収まらない)ことから、採用には至りませんでした。現状のロッカーにナットを仕込んだアームを溶接する方法を提案されました。
もとに戻せない一方通行のカスタム(改造)、しかもボバー(切り揃える)とは反対のくっ付けるというのはイマイチ気が進まないのですが、濡れた路面を避けられない旅にフロントフェンダーは不可欠…と考え、お願いすることにしました。トレーラーが完成した後にフロントフェンダーを別途依頼するのでは、時間と費用が掛かり過ぎてしまいますし、優先順位から言えばフロントフェンダーの方が先なんですよね。(だからサクマさんより先に行ったんですよねー)
どうしても気に入らなくて、改めてノハラさんに紹介してもらったショップにパーツ製作からお願いすることも視野に入れるとしたら、さすがに費用負担を散らさないと僕のお財布がパンクしてしまいます。そう考えると、事情を話してお断りする際は虎屋の羊羹くらい持って行かなきゃイカンかな…。
その3へ続く
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