ブラウントラウトをサイトで獲る釣りに挑戦
マタウラリバー(Mataura River)のほとりでテントを張って4日の朝を迎えたのですが、なかなか寝付けないで、朝の4時半にテントの外に出てしまいました。
一服点けていると、5時頃には賢一くんが起き出してきて、コーヒーを淹れてくれます。ゆっくりのんびりしていたら、賢一くんはたちまち準備を整えて出撃を促してきます。
僕がNZに到着する前数日間は雨が多く、この日のマタウラリバー(Mataura River)もやはり増水して川幅が1.5倍くらいになっている、とのことでした。白泡の立っている流れにビーズヘッドのニンフを流してみてねというアドバイスを受けたので、#6ロッドを持ち、もう一張りのテントの動きを気にしつつ出発しました。
この竿にしたのにはもう一つ理由があって、出発前に託されたミッション、故西山徹氏の「ブラウンには世界中どこでもホッパーが効く」説を検証し、ピンクプーキーの口に掛かった70cmUPの写真を撮る野望のためにも、番手を上げたかったのでした。
70cmUPは高望みだとしても、フォームホッパーのピンクプーキーでも釣ってみたかったので、ショートリーダーにして、フックベンドに2フィートほどティペットを繋ぐトレーラーシステムにしてみました。
ところがニンフでもアタリがなく、岸際に魚の姿を見つけると、ドライで狙うことになりました。ニンフを外してピンクプーキーを浮かべてみても魚は反応してくれませんでした。
今年の年末のダニーデン(Dunedin)近辺は気温が上がらず寒かったそうです。これまで川岸にバッタの姿を見かけることも無く、フォームホッパーの出番は無かったのでした。
2匹目の魚を見つける頃には、ついに賢一くんからピンクプーキーにもNoGoodの宣告が出され、野望はあえなく断たれてしまったのでした。ゴメンナサイ。
結構岸際に魚の姿を見つけるのですが、木で覆われた下にいるので、とても攻めきれるものでもありませんでした。ニンフなんか投げたら一発で絡む、流したら引っ掛かる、が目に見えていたので、ドライをなんとか浮かべるのが精一杯でした。
しばらく待って魚が木の下から出てくると、今度は風が吹いてきてうまく投げられない、というジレンマが続いていました。
ある岸際で見つけた魚は、川岸近くでライズを繰り返しており、川の中に立ちこんで岸に向かって投げるポジションで攻められる位置に居ました。何を食っているのかが分からないので、岸近く→テレストリアルっぽいのを?とロイヤルウルフ#12を投入しますが無反応です。
じゃあとアダムス#14を投げるもダメ。ダンなのか?思ってとCDCダン#16でもダメ、ちっちゃいの食ってるのかな?とラスティスピナー#18も無視と、試行錯誤全開モードですが、魚は相変わらず定位したまま見えるので神経質になっているわけでもないようです。
目いっぱい小さくしてフローティングニンフ#20を結んでやろうか、いい加減冷たい川の水で足腰が冷えてきたし、これでダメならもう…と思った時、基本に立ち戻ってドラグが掛かっているのかも?と自分の腕前を疑いました。さりとて4x12ftリーダー+4x3ftティペットは僕の扱える限界の長さでもう伸ばせません。
やっぱドラグなんだろう、浮かせ方を変えようとパラシュート#14を結んで、丁寧にリーチをかけてキャストしドラグフリーの距離を稼ぎます。いいところに入ったと思ったら、スパッと魚が食ってきました。
ようやく食ったとアワせるとフッキングしました。あまりに粘る僕を置いて上流に行った賢一くんにようやく食ったよ~と声を掛けて鱒に振り返ると、この魚全然走りません。流れに乗ってゆっくり下ってくるだけでした。
距離もどんどん近くなってくるし、次々ラインを手繰るとまたもやリーダーの結び目がガイドの中に入ってしまいました。ヤバいなぁ。一昨日と違って大きい川だから一気に走るかも?と、ラインをトップガイドから出した途端、やっと釣られたことに気付いたのか、いきなりジャンプしました。
すると空中でスルッと音がしたかのようにフライが外れてしまいました。あ~あ残念。しかもこの魚、その場でしばらくじっとしていました。泰然自若というかオオモノですな。
とにかく粘って食わせたことに満足して、上流の中洲にあがって足踏みをして冷えた足腰を暖めます。いや~寒かった。悪いオンナにとっ捕まってエラい目に遭うってこんな感じかしら。
ほっと一息つくくらい温まってくると、ようやく周りが見えてきます。中洲は水を被らなかったと見えて、いくつか花の群生がありました。
その後上流へと進みながら、深場で見つけた魚の影にビーズヘッドニンフを投げたりしながら上っていきます。途中賢一くんも岸際に居付いていた魚に手を替え品を替え攻めるも釣れなかったりで、どんどん歩いて魚を探してエイヤっと投げるキウィスタイルにどっぷり漬かってしまうと、出発からおよそ6時間も経っていました。
上がり間際に岸沿いで見つけた魚にビーズヘッドニンフを流すと、一発で食ってきたヤツがいました。ところがアワセが早かったようでフッキングしませんでした。2投目も食ってきたけどこれまたスカを食らってしまいました。ニンフのアワセるタイミングが分からない!千載一遇のチャンスだったのに…。
川の中に立ち込んで釣りをしている人に出会って遡行は終了です。ガイドがぴったりと寄り添ってたところへ声を掛けると1匹釣れたと言っていました。
結局我々は1匹も釣れなかったのですが、久しぶりにたくさん歩いて、たくさんの(多分20匹近く)魚の姿を見つけて、充分にサイトフィッシングを堪能しました。
舗装された幹線道路に出てテクテク歩くと約45分で出発地に到着しました。後片付けをし、昼食をとった後、この川を離れて昨日行ったワイタヒリバー(Waitahi River)の下流に寄りました。帰り道の途中にあるここがニュージーランド最後の川です。
昨日使った#4ロッドを持ち出して準備を整えたら、出発です。
川に沿って賢一くんが先行して歩きながら魚を探していくと、わりあいすぐにライズを発見しました。やや下流から川の中に入っていきます。
脛辺りまでの浅い瀬をじりじりと登ると向かい風が吹いてきます。瀬の始まる少し上、淵の最後というにはやや浅いのですが、ライズを繰り返しているあたりに届くよう、距離を詰めていきます。
フライを結んでキャストすると、ここでも風に押し戻されて届きません。取りたい距離に自分の腕前がついていかないので、ジリジリと進んで投げ直します。数投後、ライズの辺りに届いたと思ったら、チャパッとフライを食ってきました。
ところがすかさずアワせるもフッキングせず。どうやら少し早かったようです。あ~残念無念。
気を取り直して上流へと進むと、こんどはライズしていないものの岸際で定位している魚を賢一くんが発見しました。
川岸のブッシュの上に恐る恐る立ってみると、ちょうど狙いやすいポジションで魚の姿もよく見えます。
ライズしていないのでドライではどうかな?と思いつつもロイヤルウルフ#12を結んでキャストします。いいところに落ちて魚の真上を流れていきますが、ヤツは少しだけ身を捩ってチラ見しただけでスルーです。むむっ。
ならばとすぐにDad's Favorite#14に替えてみます。何度も同じフライを流すして神経質になるくらいなら、結ぶ手間が掛かっても一発で食わせたい…。
足元の草に引っかかったりしつつも、風が止むのを待って慎重にキャスト。魚の上をぴったり流してそら来い!と緊張するも、またもやチラ見だけです。コイツめ~。
もう一度フライを替えてみます。今度はパラシュート#16で勝負です。とうとう賢一くんは呆れてしまって先へと行ってしまいました。釣ってる何倍もの時間を結び替えに費やしているので、相当イライラしちゃったことでしょう。ゴメンね。でも下手な釣り人が焦ったり横着したら絶対釣れないのよ。
風の止み間に投げると、ちょっと勢いがついて飛び過ぎてしまいました。フライラインが魚から見えちゃったかな?あ、逃げない。大丈夫みたい。でもやっぱりチラ見しやがるだけ!なんてこったい!
さすがにチラ見3連発ではドライフライを諦めます。ニンフに結び変えて直撃に心を決めました。底掛かりしちゃうと台無しになりそうなので、あんまり速く沈まなそうなヤツを選びました。
ニンフを結んでいざキャストしてみると、うまく投げられなくて魚から50~60mくらいも右に逸れてチャポンという音を立てて着水してしまいました。あちゃ~失敗したか?と思った途端、魚がすーっとニンフを追いかけて泳いでいきます。この反応の違いはいったい何!
ニンフは向こうアワセくらいでいいよとの賢一くんのアドバイスを受け、パクッと食って反転して、元の場所に戻っていく途中くらいでエイッ!とアワセたのですが、やっぱりスカを食らってしまいました。一体どのタイミングでアワせればいいんだ?
ニンフって難しい…。しかしドライと明らかに違う反応の仕方でした。これほどの差があるのならやっぱりキチンと取り組んでみたいなぁと思いました。
上流へ行った賢一くんの後を追っていきます。途中で下ってくる彼の姿を見て、手を振りながら向かって行きます。落ち合ってみると上流には魚がいなかったよとのことでした。
そろそろ時間を押し迫ってきたことですし、これにて釣りは終了です。結局この日一匹も魚を釣りあげることはできなかったのですが、たっぷり歩いてたくさん魚を見つけてフライを投げてチャレンジしました。ニンフにも興味が出てきましたし、ニュージーランドスタイルの釣りを堪能できました。
その5へ続く
Copyright (C) びぃ,2007-01-11,All-Rights Reserved.