トップモノ語り

ついにオービス買っちゃった

清水の舞台から飛び降りる心地で舶来モノ
TRIDENT 906 9' #6 2pcs : ORVIS
BATTENKILL DISK 5/6 : ORVIS

TRIDENT 906 & BATTENKILL DISK 5/6(ORVIS)

2024.8.24 全面改訂

 この竿とリールは2000年頃、同時に購入しました。にゃん次さんからフライでバスを釣る用品を扱おうと思って仕入れたものがあるんだけど、どう?と持ちかけられたのが、このORVIS(オービス)でした。
 既に型落ちになってしまったモデルだったので結構引いてもらったのですが、これまでこんな高いの買ったことない!という値段だったと記憶しています。

 昔のフライフィッシャーにとってはオービスのちょっとお高いモノを買っておけば大きな失敗はなかろう。これで揃えときゃ一丁前だよ的な印象だったのではないでしょうか?僕の中ではがまかつの竿が似たイメージです。
 ついに僕も手を出しちゃうか…といった感慨と共に、清水の舞台から飛び降りるかの如くエイッと行っちゃいました(笑)

 竿はトライデントの9フィート6番です。その時同モデルの5番もあったのですが、フライでバス、湖や管理釣り場でのストリーマーの釣りを中心に使える竿が欲しかったので6番を選びました。
 これまで使っていたパワーメッシュ・ファントム7番(ダイワ)がやや硬くて不満があったので、それに代わる竿としての期待を掛けたのでした。

TRIDENT 906(ORVIS)
トライデント+バテンキル(オービス)

 使ってみるとさすがに4番よりは若干疲れます。それでもグリップのコルクが削れていたパワーメッシュ・ファントムに比べると、はるかに楽に振れるようになりました。
 しなやかに曲がるので、竿にラインの重さが乗る感じがつかめるようになり、最初の一本がこれだったらもっと楽に早くキャスティングが上達したんじゃないか?とさえ思ったものです。もちろんそれほど日を置かずに最もよく使うタックルの一つになりました。

TRIDENT 906(ORVIS)
竿のプリント

 トライデントとは三叉の槍の意味です。古代ローマの神ネプチューンまたはギリシャ神話の神ポセイドンが持つとされる三叉の槍が由来だそう。
 20年以上経っていますが、TRIDENTのロゴやスペックを表示するプリント部分はまだ読めます。この竿もアメリカンフライロッドのご多分の例に漏れず、重量3-3/8oz(約96g)を表記してあります。
 オービス独自の竿の特徴を示すシステム、フレックス・インデックスはありません。導入されたのが1998年ですから、それより前の製品ということですね。
 調べてみるとトライデントが発表されたのが1996年だそうです。97年にはPM-10+、PM-10、HLSのアクション分けができたらしいので、96年のモデルかな?

TRIDENT 906(ORVIS)
ハンドル部分

 グリップはハーフウェルズタイプです。先が細く、掌で握り込む部分が太くなっていき、その下の掌底が当たる位置で細くなって、最後の後端が広がる複雑な曲線です。

TRIDENT 906(ORVIS)
フードが埋まっています

 この後端の中にフードが埋まっているので、この隙間にリールの脚を挿し込みます。当然ながらコルクを掘ってフードを埋め込む製作作業は結構な手間です。しかしスッキリとした見た目だけでなくリールが手に近いほど疲れにくいという機能性にも大きく関わってくるのです。

TRIDENT 906(ORVIS)
リールシート

 脚の反対(下)側はフードを下から上げ、スクリューで止めるアップロックスクリュータイプの金具です。リールシート金具の間のフィラーはマホガニーかココボロか?何でしょう?

 購入当時は知らなかったのですが、このトライデントはカタログ等でアメリカの潜水艦に使われている技術がこの竿にも!と大々的に宣伝を打ったんだそうです。
 調べてみると、ロッドグリップ内部にロッドブランクを包み込むようにMVRマテリアル(振動減衰素材)を入れて、キャスティング時に発生するバイブレーションを抑制する特許技術だそうです。当時の広告を知る人達にはお。潜水艦が入ってるなどと言われて親しまれていた?(笑)そうです。

TRIDENT 906(ORVIS)
フックキーパー

 フックキーパーは長細い環状になっていて、パタンと折りたたむことができます。凝ってますね。ワインディングチェックは黒で、ローレット(溝)加工と曲面加工を組み合わせてあるタイプです。昔、大宮の吉見屋さんで買ったベリンジャー社のワインディングチェックがこの形でした。

TRIDENT 906(ORVIS)
ストリッピングガイド

 ガイドのリングをよ~く見ると金色…、これゴールドサーメットですね。ゴールドサーメットは軽くて強く滑りの良い素材ですが、PEラインを使うと糸溝が掘れるため、PEラインの普及とともに姿を消しました。
 フライフィッシングでは、バッキングラインにPEを使わない!従来からのダクロンの編み糸だけ使う!と決めてしまえば良いガイドだと思うのですが、さすがにもう作らないですかね?
 ちなみにガイドメーカーである富士工業懐古主義に靡(なび)かない、過去の製品を絶対に復活させないチョー前向きな会社としてマニアの間で知られています(笑)。

TRIDENT 906(ORVIS)
スネークガイド

 スネークガイドは左から右へ回るアメリカンパターンで、こちらも金色です。ゴールドサーメットにあわせてスネークガイドも金色のメッキをかけたのかな…?

TRIDENT 906(ORVIS)
トップガイド

 トップガイドももちろん金色で、トータルコーディネートしています。ゴージャスな感じにまとまっていて良いのではないでしょうか。トップガイドの他にスネークガイドが9個、ストリッピングガイドが1個の構成です。

TRIDENT 906(ORVIS)
フェルール

 フェルールは太いティップ:穂先側(写真上で左が穂先)の後端がメスで、細いバット:手元側(写真下で右がグリップ)のオスを挿す逆並継ぎ(スリップオーバー)です。

TRIDENT 906(ORVIS)
竿袋とケース

 竿袋(ロッドソックス)は2双で緑色の生地、フラップは紐ではなくマジックテープで止めます。竿ケースは赤いファブリックで覆われたアルミチューブタイプです。

BATTENKILL DISK 5/6(ORVIS)
リールのハンドル側

 相方のリールはバテンキル ディスク5/6です。竿との同時購入なので、これ以外に組み合わせたことがないというコンビです。若干リールシートに入り難いのが同じ会社の製品なのに何故?といったところなのですが、特に不満も無く使えています。

 バテンキル(BATTENKILL)は、オービス社があるマンチェスター(アメリカ:バーモント州)の郊外を流れる川の名前なんだそうです。GoogleMapで調べてみるとこんな感じ。

BATTENKILL RIVER
ORVIS社とBattenkill川

 糸の容量(ラインキャパシティ)は、ウェイトフォワードのフローティングラインで、5番だと20lbダクロンバッキングラインが100yd、6番で75yd、7番だと50ydの指定です。
 重さが4.7oz(約133g)、スプール幅が3-1/8inch(約7.3cm)です。ハンドルの素材はデルリンかな?

BATTENKILL DISK 5/6(ORVIS)
リールの背面

 Made in ENGLANDと書いてあるのがアメリカのメーカーなのに何故?と思ったものです。オービスはOEMで生産された商品が多く、このバテンキルの生産はHARDYが担当したと知ったのは後になってからのことでした。

 背面にあるノブでブレーキの強さを調節します。スピニングリールのような性能は望むべくもないのですが、ノブを回したなりに強弱が付いていますので、十分な性能だと感じています。

 またノブの脇にティペットを止める金具(ティペットホルダー)を貼り付けています。アルミ削り出しの製品で知られるアビタックス(ABITAX)の商品でとても便利なんですが、今ではもう生産されていません。

BATTENKILL DISK 5/6(ORVIS)
リールの内部

 このリールの巻きの方向は工場出荷時で左手巻きになっています。右手巻きに変えるには芯棒の刺さっている中央の歯車を外してひっくり返して装着します。

BATTENKILL DISK 5/6(ORVIS)
スペアスプール

 後に日暮里にあったRiverという店で替えスプールを購入し、WF-6S Type2とWF-6Fを巻いていました。この2本あれば大体はこなせていたので、ああ。替えスプールって便利だなぁと思ったリールでもあります。
 特にバテンキルは長く広く販売されているリールですから、あ!帰り道にあるあの店で買っていこう!とフラっと入って替えスプールを買えたのが良かったです。
 以前L.L.Beanのカセットスプール式リール(STHのOEM)を使っていたのですが、スプールを売っている店が少なくてフライショップに片っ端から電話をかけまくったことがあります。そんな点でもメジャーブランドのロングセラー商品は安心感がありますね。

 スプールの取り外しは中央部のカバーからチョコンと飛び出したレバーを押し込んでスプールを引っ張ります。中央部のカバーのデザインは時期によってデザインが替えられたのか何種類があるようです。

BATTENKILL DISK 5/6(ORVIS)
リールケース

 リールケースはHARDYでもお馴染み、今川焼きと呼ばれる円筒状タイプ。円周方向にファスナーが付いていて半分にパカッと開く構造です。

 このセットは本当にたくさんの釣り場へ持ち出しています。遠くはイエローストーン国立公園(アメリカ)から、近くは朝霞ガーデンまで。ニジマスはもちろんのこと、カヌーに乗ってダム湖でバスバギング、東京湾の堤防でメバル狙い。菅沼のサイトフィッシングでドライフライを投げれば、BS(ボトムスキャニング)で芦ノ湖の底の様子を探るなど、上から下まで何でも来い。秋ヶ瀬公園でキャスト練習会にも使いましたから、まさに僕の釣りを形作ってきたと言っても過言ではない道具なのです。

 この20年余を振り返ってみると、入門・上達に充分足る良い道具で歩みを踏んでこれたよな…と思うのです。こういう経験が愛着になって手放せなくなるんですよね。釣りに行けなくなったら、これを眺めて酒でも呑みますか(笑)。

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