3本めはへら竿に挑戦!
この竿は3本継で設計し、曲がりが綺麗でなければへら竿ではないとのココロザシを立て、継ぎはグラスファイバーのムク棒を用いたフェルールを採用しました。
基本的な構造はスピゴット(逆印籠継ぎ)です。各セクションの手元側(下)に芯を挿して接着・固定し、穂先側の穴に挿し込む方法です。
ところが4回の釣行で93枚まで釣ったところで、穂先の手元側(下)に接着したグラスファイバーのムク棒の表面が剥離し始めるという事態が発生してしまいました。作成途中には竿が折れるか、穂先が抜かれるかとウワサされていたので、まさしく想定外。全員の予想を裏切るトンキンケーンの力強さと言ったところでしょうか。
原因は、トンキンケーンのブランクに対して、グラスファイバーのムク棒が弱いというか曲がり過ぎること。竿が継ぎ目からいびつに曲がるのも、印籠芯(フェルール・プラグ)の硬さが足りないからに他なりません。
そこで改造手術に踏み切ります。印籠芯(フェルール・プラグ)の素材をグラスファイバーのムク棒からカーボングラファイトのムク棒へと交換します。より硬く強力なカーボングラファイトの特性に賭けるのです。
そもそもの設計としては、ティップセクション(穂先)とミッドセクション(元上or穂持)が接合する断面の対面幅は3.4mmです。中心に2.2mm径の穴をドリルで空けてありますので、ブランクの外皮部分は面の部分で最薄0.6mmですね。
ここに2.2mm径に削り出したソリッドグラスの丸棒を差し込んで、フェルールプラグの芯にしています。芯材の太さがよくわからなかったので対面幅の2/3にしたのですが、これでは細い、ということですね。
作業としては、まずはカッターでグラスファイバーの芯材に切り込みを入れて、折るように切り取ってしまいます。ここへドリルで再び穴を開けます。初めは1.5mm径のドリルを使い、2.0mm径、2.2mm径と段階を踏んで拡げ、最後は2.4mm径のドリルを使って、0.2mmの拡張としました。
とはいえ実際の作業は暑いアトリエで大汗をかきながらフル先生が旋盤で作業しました。ありがとうございます。
次にミッドセクション(穂持)とバットセクション(手元)が接合する部分です。この断面は対面幅で4.9mmで、同様に芯材の太さを2/3としたので、中心に3.3mmの穴をドリルで空けてあります。ブランクの外皮部分は六角竿の面の部分で最薄0.8mmになります。
同様にグラスファイバーの芯材をピラニアンソーで切り取り、2.4mm径、3.0mm径、3.3mm径と進めて、最終的に3.5mm径のドリルで穴を開けました。こちらも0.2mmの拡張です。
カーボングラファイトの芯材は、神田のつり具の櫻井で折れたソリッドカーボンの船竿の穂先を買ってきました。一本50円ナリ。船竿の多くの例に漏れず総巻きだったので、スレッドを剥がすのですが、エポキシ塗料が硬くて骨が折れました。
これを旋盤で回して、3.5mm径と2.4mm径の2本の印籠芯(フェルール・プラグ)を削り出します。前回のグラスファイバーの時には、ブランクに対してまっすぐに固定されていなかったのですが、今回はノギスを何度も使用し、径が変わらないように気を付けたにも関わらず、やはりブランクと一直線になっていません。どうやら穴がまっすぐではなくて、ある方向に逃げてしまったようです。
やはりここが一番の急所です。ブランクに対してまっすぐ穴を空けるというのは、とても難しいものです。印籠芯を差し込んで接着する側の先端のある方向だけを削って細くして、傾けて芯を入れることで補正しました。
2液性エポキシ接着材で接着します。接着剤が完全硬化したら、紙やすりで摺り合わせを行います。
手元(バット)側の印籠芯が伸びちゃった?そんなはずはないので、おそらく空気を追い出せずに少し浅く接着してしまったものと思われます。う~ん。強度が大丈夫かしら?
継いで曲がりの確認をしてみました。感想はグラスファイバーよりかなり強いようで、曲がりのいびつさが少し解消されたような気がします。近いうちに魚を掛けて実戦テストをしたいと考えています。
改良後の様子はこちらで覗いてみて下さい。
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