ライズの釣りに入門するためアメリカへ
いよいよ釣りは最終日となった15日、朝からどよんと雲が立ち込め、雨は避けられない雰囲気です。
ざんざか降るととても寒そうなので観光にしましょうか?とも考えたのですが、ディーンのアドバイス通り、公園内に行ってソーダビュート、ラマー、スルーを釣ることにしました。
まず始めに到着したのがソーダビュート・クリークとラマーリバーの合流点にある駐車場。ここは幹線道路の脇にあたるため、いつも誰かが入っている人気ポイントです。
この日もざっと見えるだけで4人が入っていましたので、別の場所に移動します。
次にソーダビュートの上流に向かうも、これまた4人の釣り人が見えたのでパス。3日目に行ったラマーリバーのバンクから入ることにしました。
やや上流のリッフルから3日目と同様ピンクプーキー#6を流していくと反応がありません。河合さんのベイティスが出てますねという話からサイズを落としてラスティスピナー#18、CDCソラックスダン#18とローテーションして、フローティングニンフ#20を川の曲がり角あたりに流していると、1回パシャと出ましたがフッキングできませんでした。
すると下流に先行していた河合さんが見事魚を掛けているので、歩いて行って追いつくと、見事なカットスロートを取り込んでいました。
フライを外していると口にもう一本ティペットが見えます。どうやら最近取り逃がした、というか糸を切って逃げたことのある魚だったようです。
河合さんによると岸際でポツポツとライズをしているようですが、なかなかシブいようです。もう少し日が高くなってくると活発になると思うのですがとのこと。アドバイス通り岸際を丁寧に攻めてみることにしました。
ところがここは1回パシャと出てきただけで釣ることはできませんでした。
まだまだハッチがなく渋い釣りになってしまいそうなので、ソーダビュートクリークに移動します。
ソーダビュートは地下から温泉と共に炭酸カルシウムが噴き出していて、これが固まり岩になったというもの。へぇ~こんなものができるのね~という不思議な岩です。
この駐車スペースに車を停めて、脇を抜けて川へ歩いていきます。
広い河原は開けた景色です。川を見ると水は少なく、ホントにトラウトがいるのかな?というような流れです。河合さんによると、水が少なくなったら淵に溜まるんですよ、とのことです。
この広い河原で昼食です。リビングストンで買った特大サンドイッチを半分だけ食べて、釣り再開です。
ここでは夏の釣りの名残のスタイルで、テレストリアルを使います。ピンクプーキーやビートルもいいですが、笑ってしまうようなこんなフライもいいですよ、と取り出してきたのがこのフライです。
ホンマにこんなん食うんでっか?というようなサイズですが、もちろんとボロボロに齧られたフライも見せて頂きました。
ここでは釣り始めてしばらくすると、雨が降り始めてきました。かなり辛くなってきたので、僕はエルクヘアカディス#12を使いましたが、河合さんはフォームビートルでバッチリ釣っています。(でも少し小さいサイズかな?)
かなり雨が強くなってきたので、ここは諦めて車の中に避難することにしました。冷えてしまった身体を車の暖房で暖めながら、このままスルークリークへ移動することにしました。
スルークリークの駐車場で雨の止み間を待つことにしました。しかししばらくすると河合さんはこういう厳しい状況こそストリーマーが効くんですよ。大きいのがきますよと言って川へ出て行ってしまいました。根性無しの僕はもう少し雨足が弱まるのを待とうと、車の中で寝てしまいました。
しばらくして目が覚めると雨がほとんど降っていない状況だったので、車から出て川に行ってみることにしました。
川を覗き込んでみると、ポツーンとライズリングが広がります。釣りも最終日、すでに15時を回っているので、ここはいっちょう釣ってやらんと帰れないなぁ、と川の中に入っていくことにしました。
川の流れの緩いところで何やらパクパクと魚が食べています。この旅のおさらいのつもりで、まずは流下の確認です。クリーム色のメイフライのダンが大量に流れています。サイズにして#18から#20程度でしょうか。
目立つようなダンのシルエットということでCDCダン#18を投入するもダメ。水面に羽が張り付いてしまったDrowned Dunが食われているのか?と思いラスティスピナー#18を投入するもダメ。水面に流れているダン以上にイマージングするニンフが食われているのかも?と思いフローティングニンフ#20を投入するもダメでした。なかなか食ってくれません。
すると河合さんが戻ってきて下のプールではライズがすごかったですよ。きっちり1時間。ベイティスのダンが大量に流れてきていましたとのことでした。いいなぁ、そっちが良かったかな?と思うもののハッチは既に終わってしまったとのことです。
どうやらここに着いた人が最初に覗き込む所で魚もたくさん攻められており、かつ流れが緩くて魚がじっと観察するという難しいポイントにわざわざ入ってしまっていたようです。さりとて目の前ではまだポコポコとライズを繰り返しているし…。
河合さんが川に入ってきてくれて、#20のフローティングニンフ(かな?)を取り出し、これでやってみて下さい、と丁寧にフロータントを施します。じっくり浮かべて我慢です、どれだけ浮かべて待てるかが勝負ですからねとアドバイスを頂きました。
さすがに河合さんがフロータントを施したフライは小さくてもポカッと浮いて見やすいです。これなら我慢して浮かべていられるな、と思ったら、早速トラウトが食ってきました。
慌ててアワセるもののフッキングしません。この旅では最後までフッキングのタイミングが遅いままでした。2投目でもやはり同じで遅すぎました。しかし河合さんが選択し、フロータントを施したフライに変えると途端に2連発ですから、セレクトとケアはやっぱり重要ですね。
再びフライをキャストし我慢して浮かべて待っていると、ちょうど3匹ほど浮いているベイティスのダンと思われる個体の中に紛れ込んで行きました。
息を詰めて待っているとホンの10cm脇の個体がガポンと食われ、心臓がドキドキしてきました。その脇のフライも食え!と念じているとガポンと食われたので、気合を入れてフッキング!3度目の正直でハリ掛かりしました。
ハリに掛かった魚が横に鋭く走り出したのが見え、6Xティペットをいたわるようにおっかなびっくりやりとりすると、河合さんが記念撮影をしてくれました。
魚が掛かっているのに余所見してるので、少し余裕があったのかも知れません
無事取り込みに成功しました。この1本は嬉しかったですね。この旅でライズの釣りに入門して、アレコレ出来ない技術を知り、どうにか練習してきたことが上手くできたと実感できた一本です。
河合さんにもお見事です。この一本はたいしたものですよと言ってもらって大満足です。
サイズとしては40cmを切るくらいでしょうか。でもサイズに関係無く、とても貴重な一本に感じられました。ライズを狙って獲る一本はサイズを云々言うまでもない充実感があることを実感しました。
この後、少し釣りをしましたが身体も冷えてしまったので早めに上がりました。気分的には既にアガリ1本です。
最初にアメリカのポテンシャルに驚き、その後技術に拘って釣ることをテーマにおいたものの凹み、最後に上達を少し感じられる印象的な魚を釣ることができて、いい旅の締め括りができました。
その9へ続く
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