最良の機会を得て最狂の企画が動き出す
午後の作業はハンドル周りの作業となります。まずはリールシートのエンドキャップの加工から始めました。
羽生の渡辺釣具店でアップロックスクリューのリールシートを購入した際に、社長自ら削ってサービスで付けてくれたエンドキャップに穴を開ける加工をします。ここで初の金属加工用旋盤の登場です。
エンドキャップを旋盤に固定します。センター台にセンタードリルを固定し、エンドキャップの中心に小さい穴を開けます。
この穴を通るステンボルトはM6サイズになります。ネジ山を含めたボルト軸の幅をノギスで測ると7mmの径が必要だと分かりましたので、7mm径のドリルで穴を開けます。
次にエンドキャップの表面は緩い曲面になっているので、浅く削って平面にします。エクステンションバットがピッタリくっついて隙間が空かないようにするのです。
とはいえ作業工程を説明しながら先生がほとんどこなしてしまいました。表面削りを少しやっただけです。いずれはイチから部品を作り出せるようになりたい…。
これを組み合わせてリールシート後端に接着するのです。組み合わせイメージはこんな感じです。
次にリールシート金具を染色します。各金具をコルクから外します。
人差し指のフット金具はコルクで隠れる部品
アルミ製+アルマイト加工済みなので染められません
最初にシンナーをティッシュペーパーに含ませて充分に脱脂します。綺麗に拭き掃除をしたら、小さな容器にアオバ黒染液を注いで、その中に部品を入れると染まります。
気泡が付くと薬剤が部品に付かず、染め残しになってしまいます。よくかき混ぜて薬剤が全域に付くように泳がせたら、部品を取り出しティッシュペーパーでから拭きします。
無事金具が染まりましたので、エンドキャップとステンナットを接着します。
ステンナットの位置を固定するため、ナットで軽く止めます。その際キズが付かないようにエンドキャップの表面にマスキングテープを貼ります。
使用するのはエポキシ接着剤。それもヤマさんお勧めのすごくカチカチに硬く固まって肉痩せしないので充填に最適というAraldite Standardという製品です。
使用方法はよくある2液性エポキシ接着剤なので、等量ずつ(硬化剤を気持ち少なめとはヤマさんのアドバイス)出してよく混ぜて塗りつけるだけ。結構粘度が高いめです。
ボルトを止めたら、先程切ったブランクのティップを使って、エンドキャップとステンナットの隙間に充填していきます。おお!早速役に立つとは思わなかった。とはいえやっぱり少し太くて結局最後は爪楊枝を使ったんですけどね。
暖めると粘度が低く(緩く)なるとのことなので、ドライヤーで暖めると気泡が浮いてきて、少し液面が下がりました。これでしっかり接着できるでしょう。24時間で硬化するとのことです。
次はコルクのリールシートおよびグリップの中央に空いている穴を拡大して、ブランクが通るようにします。
特にコルクのリールシートは直径が17mmと薄いので、丸棒ヤスリ注意しながら穴を拡大します。先生が取り出したのは丸棒ヤスリの先端がドリル状になっているもの。これは意外と優れ物かも?
コルク穴の拡大だけでは、コルクの厚みが足りませんので、ブランクを旋盤にセットして角を落としてコルクを入れやすくします。
いよいよリールシート・グリップを接着します。使ったのは90分硬化型の2液性エポキシ接着材です。ブランクの一番太い部分に刺さるリールシートを接着します。これは金具の関係上、ブランク後端が少し飛び出ますので、乾燥・硬化中のエンドキャップ&ステンナットの長さをノギスで測って、注意深く位置を決めました。
さらに金具を接着しますが、アップロックのフードの向きにも注意します。ブランクの面と同じ向きに向けないとやり直しになってしまいます。
次にコルクグリップを細いティップ側から挿し込みますが、これがまたキツい!ぎゅうぎゅう押し込んで、先生の腕力をお借りしてようやく位置が決まりました。
位置が決まれば先生自作の治具(圧着用工具)でコルクをぎゅーっと圧着し固定します。ところが当アトリエではこれまでアップロックスクリューを使う高番手の竿の製作がほとんど無かったためか、木材に大きな穴を開けて急遽作ることになりました。
ボール盤があるからこその対応ですが、15分硬化型の接着剤を使っていたら間に合わなかったことでしょう。良かった良かった。
本日の作業はこれにて終了です。次回までにちゃんと乾燥・硬化していることでしょう。
その15へ続く
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